出会った橋ール・ピュイの道-14

6月1日、「最も美しい村」Montreal-du-Gersを通過する。この村まちは12〜13CにできたBastidと呼ばれる当時の新都市である。ローマ時代から人が住み着き、自然発生的に集落が形成されてきたフランスの片田舎で、このような計画的なまちづくりはまに”新都市”であったのであろう。

f:id:peregrino:20210526173511j:plain

教会のある広場がまちの中心で、周囲の建物に回らされているアーケードの朝市に住民の生活を垣間見ることができた。

f:id:peregrino:20210524142634j:plain

集落を出ると広大な葡萄畑が続く。人手だけでは追いつかないため機械化が進んでいる。畑の中に続く道は私有地ではあるが、巡礼路に組み込まれている。初夏のためまだ実はついていない。数年前の「フランス人の道」では収穫期の秋であったので手渡してくれた葡萄に喉を潤しながら歩いた。

f:id:peregrino:20210524142759j:plain

宿泊地のEauzeの教会の中から歌声が聞こえてきた。堂内に入ると指揮者の周りで数人の男女が聖歌を歌っている。ナンシーからやって来たグループで、途中出会った教会で聖歌を納めながら巡礼していると言う。色々な巡礼スタイルがある。ベンチに座り目を瞑って聞きいる。聖堂内は音響効果が良いので、歌詞は分からないが疲れた体に心地よく染み入る。

f:id:peregrino:20210524143005j:plain

6月2日、Nagaroの街に到着した。出会った人に良焼していた宿の所在を聞いたところ、うっかりしていて3km手前で通過していた。今更引き返す気力がないので近くにあると言う公共の宿へ向かう。しかし、コンプレ(満室)。さあどうしようと考えていると、昨日同宿した女性がやってきた。事情を話すと管理人と交渉し何と床の上でなくベッドを確保してくれた。先程のコンプレの理由はどうでも良い。ベッドルームに入ると大きな部屋にベッドが円形に並んでいる。宿泊者は皆疲れているのでこんな環境でも熟睡できる。

f:id:peregrino:20210524145555j:plain

ベッドを確保してくれた女性には、前日も宿到着時に不在の管理人を呼び寄せてくれた。そして、途中でサインを見失いウロウロと彷徨っていた時目の前に突然現われた。一人で歩いていても、決して一人旅ではない。

6月3日、延々と一直線に伸びる線路脇を歩く。先方に機関車のシルエットとSTOP150mのサインが見える。”この先線路を横断するが機関車の通過に注意しろ”と理解。そして間も無く線路に出会う。しかし、線路敷にはびっしりと雑草が生えており数ヶ月間機関車が通過した形跡はない。しかし、標識は比較的に新しい・・・・

f:id:peregrino:20210524150725j:plain

この辺りでは観光的な見所はない。しかし、路傍の小さなチャペルに入ると見事なステンドグラスは見当たらないが、それとは異なった光の演出に出会うことができる。

f:id:peregrino:20210524151205j:plain

 

道を防ぐような樹木によく出会う。元からあったのか、路傍に植えたのか。時間の経過と共に大きく繁茂している。道を塞いでいるようであるが通過できる穴が空いている。その先には何か別の世界が待っているのではないかとの期待を持ちながら通り抜ける。

f:id:peregrino:20210524150514j:plain

6月4日、Arzacq-Arraziguetに入る。教会で管理をしている老婦人に出会い暫く話し込んだ。フランス語ではあるが大意は理解できた。息子さんが東京の大学にいると言う。飲み物と菓子の接待を受けた。”おもてなし”は日本の専売特許ではない。

街中の家の軒先がそり上がっている。理由は分からなかったがこの地方の特徴らしい。何となく愛嬌を感じさせる屋根である。

f:id:peregrino:20210524151907j:plain

続く

代々木公園内の園路を覆い繁る樹木が突然剪定された。オリンピックのパブリックビューイング会場設営の為の工事用車両を通すためだと言う。理由はどうあれ事前の説明が足りないように思う。そこを通った先にはどんな世界が待ち受けているのだろうか。