フランスで最も美しい村ーConques-2
吉村氏はコンクを「渓谷をゆく巡礼者たちの休憩地、人々の信仰を集めた重厚な教会」と紹介しているが、村を出る時ロット渓谷を横切る以外この辺りでは渓谷とは縁がなかった。そして、サント・フォア修道院も重厚というよりもひっそりと佇んでいたという印象である。建物は11〜12Cに建てられたロマネスク様式で、控えめに巡礼者を迎えるタンパンのテーマは「最後の審判」。土葬された死者は世界の終焉後に生前の行いを審判され、天国か地獄行きが決められる。その時まで身の振り方が定まらないので火葬にしなかったのかとのかと勝手な解釈をする。
観光案内所で入手した日本語の説明図を参照しながら暫くの間見入る。
向かって右の地獄は残酷であるが左側の天国より興味深い。
タンパンの淵から覗く悪魔?は何をしているのか。
堂内のステンドグラスはゴシックと異なり単純な装飾に留まっているが、そのシンプルさがかえって荘厳さを醸し出している。
200本を超える柱には柱頭彫刻が施されているが、長い年月に殆どの物が磨耗して元の姿を止めていない。
外壁の彫刻が興味を引いたが、背景が分かれば更に心に残ったかもしれない。
観光客が必ず訪れる聖女フォアの頭蓋骨を納める人像形の黄金の聖遺物箱は何となく関心が薄くパス。
人気のない翌朝7時前に霧に浮かび上がるコンク村を出立する。
苔むしたローマ橋を渡りロット川の対岸から再度600mまで登りとなる。
途中小さな礼拝堂で村に別れを告げる。
評判通りの「美しい村」であったが、時期的に観光客が少なかった事、取り分け〇〇人に出会わなかった事は臍曲がりの満足感を高めてくれた。
因みに、Conquesとは帆立貝の意であり村の形状から村名となったとの事。