有要有急の街歩き

一月前、食事中ガリっと言う音と共に口の中に違和感が走った。口の中から歯のかけらがこぼれ落ちた。歯の痛みだけはなんとも我慢し難い。海外の長旅の前には必ず歯科医院に出かけ入念にチェックして出かけた。今回はコロナ禍でしばらく歯のクリーニングもご無沙汰していた最中であった。

痛みはないものの歯科医院に出かける算段をする。行きつけの医院は第二の勤務先の近くの東京駅八重洲地下街にある。コロナ対策の配慮が必要である。通勤がひと段落し昼休みの人出が発生する間を狙って出かける。地下鉄の座席はあちこち空いており、駅から地下街までも歩行者はまばらである。

診断の結果、簡単な詰め物で済み外には問題なしとことで一安心した。治療を終え嘗て行きつけであった洋食屋で昼食を摂る。

折角だからと、丸の内側に出て丸の内仲通りのストリートギャラリーに足を向ける。三菱地所彫刻の森が芸術性豊かな街づくりを目指して、国内外の現代アーティストの作品を13点路上に展示している。数年に一度入れ替えを行っており何度訪れても新鮮な感動を覚える。今回は「われは南瓜」と題する草間彌生さんの作品に出会える。期待に違わずカボチャと水玉が迎えてくれた。以前”瀬戸内国際芸術祭2010”の直島で出会った黄色と黒のテント状のでかいカボチャに比べ、今回の作品は台上に乗った黒とグレーの横幅数十センチの平板のオブジェであった。しかし、道路の反対側のベンチに座っている女性の上半身が水玉の中にすっぽりと収まっている。

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帰宅後、トリミングをしているとなんと小さなオブジェは巨大なストリートファニチャーに変身したではないか。写真のものと現地で目にしたものとは別物に見える。コペンハーゲンの人魚像でも同じ経験をしたのを思い出す。現地に出かけることの大事さを実感した。

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アート作品の他にも街路樹の木陰に安らぎの場を提供している。

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街歩きに疲れた二人連れが巨大なサイズのハンモックに横たわっている。

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今流行りのリモートワークの場も提供している。

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銀座に向かって歩いて行くとある画廊のドアの取っ手が目に入った。あの日動画廊であった。さすがと妙に感心してしまった。

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私の有要有給の街歩きを楽しんだ。