危機感/不安感

私の一日は早朝に始まる。5時前に起き出しウオーキングに出かける。コースは近所の石神井川沿いである。息がはずむくらいtのスピードで歩くと有酸素運動となり効果的であり、負担が大きすぎると感じたらは、楽なスピードと交互に歩くインターバル歩行がオススメということを知り、今年に入り7キロから4キロに距離を短縮している。途中に出会う人は10〜15人で、平日は散歩人や通勤者で土日にはジョギングやウオーキングが加わる。散歩人はほぼ高齢者で、出会ったお馴染みさんとマスク無しで向かい合って長々とお喋りをしている。屋外一密でOKという認識か。

スマホアプリのラジオクラウドで前日のニューストーク番組を聞きながら歩く。日曜日には土曜日のTBS「久米宏 ラジオなんですけど」を聞く。嘗て、テレビ朝日の「ニュースステーション」でニュース番組に大変革を起こした久米宏の歯に絹着せぬしゃべりは全く衰えていない。先週は現在バルセロナ豆腐屋を営んでいる同番組のコメンテーターを務めた元朝日新聞論説委員清水建宇さんをゲストに迎えスペインの新型コロナ対応の現地報告があった。

スペインは医療崩壊で確認された感染者が米国に次ぐ。行動制限は厳しく半径500m以内の買物/医療/介護/犬の散歩の外出以外は禁止で、違反者は€100〜€60,000の罰金、そして1年間の禁固刑が課せられる。厳格に実行されているが国民からは殆ど苦情は出ていないそうだ。鶏を連れて散歩していた人も罰金は免れなかったそうだ。それには、老人を大事にするスペインの国民性が産む大きな危機感に起因していると氏は言う。クリスマスイブには殆どの家庭で年老いた親の家に集まり夕食を共にする。その日には大半の飲食店は止む無く店を閉じる。そして、死者の90%以上を70歳以上が占める。

スペインでは1日5回の食事を摂ると言われる。それも外食が多い。その大きな楽しみが今奪われているのである。

 

私は、短期間であるがスペインの少し深いところに触れた経験から、清水さんの話は納得の行くものであった。

 

因みにパリ在住の作家辻仁成氏も97%がロックダウンを支持していると言っていた。

 

テレビではラテン民族の野放図な行動として報道されている感があるが、地元で生活している人の実感は違うようである。 

日本人は規則を守る礼儀正しい民族だから厳しく規制しなくても大丈夫とよく言われる。しかし、私を含めた多くの日本人は、自分で考え自分で判断して行動するという教育を受けていない。外に出ればエスカレーターの乗り方まで教えてくれる。海外で一人旅をしているとあらゆる局面で自分で考え判断をすることを求められる。今回の緊急事態宣言では国民の判断に任せる曖昧な表現になっている為、どう行動していいか途端に迷ってしまう。最前線で行動してしている人達以外、私を含めた多くの日本人の意識は不安感のまま思考停止している。

 

外に目をやると、突然の雷雨が過ぎ去って何もなかったかのように明るい日差しが戻っている。そして、目の前の架線に残っていた雨水が赤や黄色にキラキラと光っている。少し明るい気分にさせられた。

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暫くすると唯の水玉に戻っていた。