不要不急の銀ぶら

家に閉じこもる生活に入りいかに時間を過ごすかを考えた。結果、読書三昧にふけることとした。変化をつけるべく時々テレビをつける。コロナ関連の番組に加えてオリンピック、パラリンピック自民党総裁選そして衆院選と見たい番組が次々と侵食されてくる。そしてたどり着くのがNHKBSプレミアムのドキュメント番組の再放送である。でも嘗ては現在に比べて制作に金と時間をかけていたのか結構見応えがある。

ついにはストレスの捌け口を求めて不要不急の街歩きに出かける。コロナ対策を考えて時間と場所を選んだ。午前中に地下鉄で銀座に出かける。

行きつけの”ギンザ・グラフィック・ギャラリー”の「NOSTARGIA」をテーマとした葛西薫展に向かう。葛西薫さんと言っても私にとっては”サントリーウーロン茶”や”とらや”のアートディレクションでの出会い程度の作家である。しかし、作品を見ているうちになんとなくなじみを感じてくる。

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受付の女性に作家の年齢を聞いてみた。私の年齢に近い70代の方とのこと。まさに私のノスタルジーに訴えかける展示との出会いであった。

次に向かったのは風月堂3Fの”gallery一枚の繪”の「島田紘一呂木彫展」。他所のギャラリーで見掛けた案内状に誘われてやってきた。

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見掛けた作家に声をかけた。九匹の猫と共に暮らしながらふとした仕草を作品に仕上げているそうだ。単なる可愛いを訴えかける彫刻ではない。案内状には

「日々いろいろなポーズを見せてくれ、成長の過程を制作する機会を得ました。一年を過ぎ成猫に育ってからも、布をまとった新たなポーズで楽しませてくれ、また制作へと心を動かされました。」

一つ一つの作品の撮影はご容赦願いたいとのことで

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ネコ派の私にとってはたまらない展示であった。

銀座の裏通りを歩いていて、思わず声をあげそうになった。ビルのファサードに向かいのビルと空が映り込んでいる。まるで抽象画のようであ李、歩いてゆくにつれ動画を見ているように変化する。ビルの主はお馴染みのルイ・ヴィトンであった。

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さらに進むと絵本の世界に飛び込む。視線を上方に移すと”GUCCI”とある。

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最近、次々とファッションブランドの店舗ビルがあちこちで建ち上がっている。しかし、このような一歩踏み込んだ試みは、良し悪しは別として街歩き愛好者の心をときめかせてくれる。

銀座の中央通りに出ると”Dior"が目に入る。このファサードは以前にも紹介したが期間をおいて変化している。

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リニューアル中のユニクロはビルのファサードを商品を使って表現している。

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銀座の表通りは何か約束事があるのか、裏通りに比べて抑えた自己主張をしているようである。

街歩きをしていて、その度に街の表情の慌ただしい変化を実感している。しかし、多くは経済性、機能性を優先する為か、どこの街も同じような風景となっている。じっと眺めていると自分は今どこにいるのか考え込んでしまう。

とりあえず、ストレス解消だけはできた街歩きであった。