フランスの最も美しい村ーVezelay

Vezelayヴェズレーについては昨年の6月11日に現地からブログをアップした。しかし、今回改めて訪問記録を残しておく。何故ならば、単なる美しい村であるに留まらず、フランスのロマネスクを語る上で避けて通れぬのみならず、フランスの四本の主要巡礼路のひとつ「リモージュの道」のスタート地であるからである。

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当初、巡礼の出発点ル・ピュイに向かう途中に立ち寄る予定であった。ところが、家を出る数時間前のHISからの電話でエア・フランスのストで日本出発が1日遅れる事を伝えられ訪問を諦めざるを得なくなった。しかし、この機会を逃すと再度のチャンスは無いとの思いから出発までの残された時間で急遽訪問を可能とするべくプランの見直しを行なった。結果、巡礼路完了後訪れる予定であったモネゆかりの地ルーアンとジヴェルニーを無念の思いで諦める事とした。一連の大聖堂シリーズはモネ作品で最もお気に入りで、兼ねてからルーアンに一泊して時間が経つにつれ刻々と変わるノートルダム大聖堂を眺めていたいとの思いがあった。

SNCFフランス国鉄の時刻表によると土曜日以外は1日1便パリからの日帰りが可能。4月〜6月決行中のストに備え現地で調整の為予定日を何日か設定し取り敢えずのスケジュール変更を完了した。

6月11日の朝、リヨン駅近くベルシー駅からスタートし、途中で国鉄バスに乗り換え、更に最寄国鉄駅のSermizelles Vezelayで更にシャトルバスに乗り、約3時間かけてやっとの事でヴェズレーに到着した。小高い丘の麓のバス停から400人強の人が住む村の中を世界遺産のサント・マドレーヌ大聖堂に向け緩い坂道が延びる。因みにマドレーヌはかのマグダラのマリアとの事で聖母マリアではない。

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道の両側の家並みは中世の面影を残している。有名観光地でありながらバカンス前という事もあり観光客もまばらでゆっくりとタイムトリップを楽しめそうである。帰路の電車の関係で滞在時間はたっぷり6時間。

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途中から小雨がぱらつき始め、前方に大聖堂の四角い鐘塔が現れやがて教会前の広場に至る。ファサードは一般的な教会のイメージと異なり上部はアシンメトリーでデザインに統一感が感じられない。9C聖母に捧げる女子修道院として麓の川岸に創建されたが、ヴァイキングの脅威から逃れる為丘の上に移転し、その後12Cにバジリカ様式のロマネスクの新教会として建設された。しかしながら、その後13Cに完成したゴシックの仮面?と、19Cの修復の痕跡として今の姿形になったらしい。でもこれはこれで10数世紀に亘る歴史を感じさせられ別の趣がある。因みに聖堂の正面は基本的に聖地エルサレムに向かって西向きに設けられているそうだ。

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更に近づき中央扉口上部のタンパンを見上げる。タンパンを始め教会の内外に展開する装飾は、案内者がこれを使いながら非識字者の巡礼者へ聖書や聖人の物語を語って聞かせる為のものであった。その為もありこの大聖堂は「石の聖書」とも呼ばれている。

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テーマは「聖霊降臨」と聞いたが聖書に疎い私でも図柄?が違うと感じられるし、なんとなく新しさも感じる。その疑問は堂内に入って解決した。下に目を移すと柱の足元に三匹のネズミ。スペインでも思いがけないところでサルやカタツムリ、更には宇宙飛行士に出会ったが、真偽は分からないので私見であるが職人の遊びである様だ。

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いよいよ左側の南扉口から堂内に入る。      ・・・・・前置きが長くなったので次週に続く