出会った橋ール・ピュイの道-18

フランスは3ヶ月に亘り交通スト。私の旅はどっぷりと嵌まり込んでしまった。日本出発前日に航空便1日遅れの電話がある。巡礼前後の鉄道利用のご褒美旅のスケジュールの組み替えを急遽行い家を出る。

鉄道利用の旅は、取り敢えず5/6-ヴェズレー中止、5/7-オータン、5/8-リヨン、6/10-ルーアン/ジベルニー→ランス、6/11-アミアン→ヴェズレー、6/12-シャルトル→アミアン、6/13-ランス→シャルトル、6/14-パリとなった。ルーアンのモネの大聖堂そして、ジヴェルニーのモネの家はやむなく涙を飲むこととした。

6月9日、14時過ぎモンパルナス駅に到着した。ストの詳細は前日発表のため、1時間半かけて明日のチケットを購入し、マレ地区のユースに転げこんだ。

6月10日、東駅からTGVでランスに向かう。まずは藤田嗣治が眠るフジタ礼拝堂へと歩を進める。

朝早く開門までの時間がある為、フジタへ資金援助をした向かいのシャンパンのマム社で時間を潰す。

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エントランスホールの壁面はアート作品で飾られまるでギャラリーである。

礼拝堂に入ると壁面にはフジタのフレスコが隙間なく描かれている。中には私にも馴染みのある場面にも出会えた。

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フレスコ画だけでなくステンドグラスもあり、外壁には彫刻?も。フランス人の団体客もやってきたがほぼ独り占めで静かに時間を過ごす。

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次も徒歩でサン・レミ・バジリカ聖堂向かう。途中のシャンペンのテタンジェ社の庭でもアート作品が出迎えてくれる。フランスではあらゆる所にアートが溢れかえっている。

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バジリカ聖堂は11世紀初頭に着工され、その後修復作業が行われきた為、地味ではあるがロマネスクとゴシックが共存した造りに見応えを感じる。二段重ねのフライイング・バットレスはいかにも頼りになりそうである。

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聖堂の中に入ると何の頼りになるのかが見て取れる。天井は天へ天へと競り上がっている。

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 ノートルダム大聖堂の見所はファサードに施された彫刻群と薔薇窓である。天使が私に微笑みかけてくる。「微笑む天使」の彫刻である。しかし、私は暫くの間何か怪しげな動物のガーゴイルを見上げていた。

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道内にはシャガール作のステンドグラスがあるが、何を訴えているのか理解ができない抽象的なものも存在感を発揮している。

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隣の司教の館であったトー宮殿には、修復前の大聖堂の彫刻が残されており、身近に鑑賞ができる。アダムとイブもいた。

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半日のランスの街歩きを楽しみ、14時過ぎのTGVでパリに引き返した。

続く

 

ステンドグラスを見たければシャルトルに行け。ゴシック建築の「建築」を見たければアミアンに行け。そして、外壁に設置された彫刻の躍動する生命みたいなものに触れたければランスに行け。

  「パリの美術館で美を学ぶ」 布施英利/光文社