予期せぬ出来事-2

今回の旅のKEY WORDは時代的には中世(ロマネスク/ゴシック),近世(アール・ヌーヴォー/アール・デコ/パサージュ)であった。そして是非出会いたいと思ったモノをピックアップしていた。しかし予期せぬ出来事?によりその思いが叶わなかったものがある。

「パリという大都会の真ん中で、中世の空気を吸ってみたくなったら、この小さな博物館に足を運ぶのが一番だ。」

誰の言葉かメモし損ねたが、この博物館とは15世紀の修道院長の宿舎を19世紀にゴシック×ルネサンスのmuseeに変身させた"クリューニー中世美術館"である。この文章と共に,"建築と展示物の親和性が完璧"というガイドブックの説明文に背中を押され、マレ地区の宿に荷物を降ろすや徒歩でセーヌ左岸に向った。地図を片手にたどり着いたが人影はまばらであり外壁には工事用シート。近づくと入口の赤い扉はピタッと閉まっておりその傍らに掲示物。なんと3月から6月中旬まで改修工事のため閉館とる。休館日はチェックをしたがこの事には気がつかなかった。是非との思いで帰途の6月14日に再度訪れたが、前回と同じ風景。掲示に目をやるとあまりのショックでJuneとJulyを読み違えていた。

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内部展示「フランス ゴシックを仰ぐ旅」より

 

巡礼出発地に赴く途上でAutunのサン・ラザール大聖堂を訪れた。「かっこ悪い」との理由で漆喰壁で覆われた為「打ち壊し」を逃れた扉口上部の"タンパン"(最後の審判),柱頭彫刻の「マギへのお告げ」、そして18世紀の改修で「いらねえな」と捨てられたロラン美術館の「アダムとエヴァ」のエヴァの浮彫(アダムは行方不明)が出会いの相手。ところがここでも改修工事中。内部には入れたが別室に移されたマギには会わせてもらえなかった。

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眠る東方の三博士のひとりの右手、天使がそっと指をふれてエルサレムに帰るなと告げる。パチリと目を醒ます博士の表情         「フランス ロマネスクを巡る旅」より

キリストとエヴァには会えたので良しとするか。

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最後の審判」左が極楽、右は地獄

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脂ののった色っぽい身体を、まるで泳ぐように横たえるエヴァ

 

パリ16区に 残されているアール・ヌーヴォー 建築(19C末〜20C初頭)の第一人者ギマールの自邸も工事中だった。でも幾つかの彼の作品に出会えたので無念さは治った。

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ギマールの作品 「カステル・ベランジュ」

 

バカンスを前にしてか改修工事中の建物が多く見受けられた。どうしても出会いたいものは事前の入念なチェックが必要。