モスクへ行こうよ

小田急代々木上原駅を出て 井の頭通を西に進む。緑豊かな街路樹の隙間から突然異国情緒を漂わせた尖塔が顔を出す。今日の目的地東京ジャーミー、イスラーム教のモスクである。

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巡礼路の旅では信ずる信じないに関わらず宗教と無関係ではいられない。四国巡礼では仏教、熊野古道では神道、塩の道では道祖神そしてサンチャゴ巡礼ではキリスト教イスラーム教との出会いであった。その中でイスラーム教だけはその本質がよく分からないままであった。今回、ある旅行社がツアーのPRを兼ねてイスラームの食に関する講演とモスク内のトークツアーがある事を知り参加した次第である。

開始前にトイレへと向かった。入口には"お清め所"のサインに?。中に入ると間違いなくトイレである。しかし、小便器が見当たらない。

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取り敢えず用を済まし出口に向かうと入口脇にシャワー室の様な個室がある。成る程、礼拝前の禊の場、日本の神社における手水舎であった。

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講演が終わりトークツアーに移る。案内は27歳で入信し当年70歳の日本人男性の広報担当下山茂さん。多目的室の片隅に両手で抱え込むほど大きな書籍がある。イスラーム聖典クアルーン(コーラン)である。「何も難しいものではない。信者が生活と言う旅をしてゆく上でのガイドブックです。」手書きとの事であるが美しい。

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壁面のあちこちに装飾画らしきもの見受けられる。「アラビア文字で警句が書かれている。日本の額のようなものです。」因みに下図は朧げながら "智慧のある者が尊ばれ、金持ちが必ず立派なわけではない"との説明であった。

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壁面や陶器に赤い花が描かれている。「チューリップです。チューリップと言えばオランダと言われるが、実はトルコが原産地です。今の者と違い花びらが尖っているが、オランダで改良された。」

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二階の礼拝堂に向かいながらモスクについて説明が始まる。「モスクはイスラーム人コミュニティの中心であり、困った時に駆け込むシェルターでもある。」「モスクは信者以外にも広く開かれている。更にアッラーの作品である生き物との共生のシンボルとして外壁には鳥の巣が取り付けられている。」

礼拝堂に入る。「イスタンブールのモスクをモデルにトルコの職人が造り上げた。」頭上のドームを始め予想を越える出来上がりである。

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礼拝の時間である。「すべての信徒はアッラーの前では平等で、横一列に並んで礼拝する。たとえ大統領であっても。」女性の姿が見当たらない。「背後上部に女性用の礼拝席があります。差別ではありません。男性は入れないが、ここより立派です。」

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何故1日5回も礼拝するのか。「1日3食におやつや夜食で5回。ご飯は体の栄養、礼拝は心の栄養。だから礼拝が終わると、みんな心が元気になり、力がみなぎってくるのです。」

「みんな一緒に礼拝します。イスラームでは、何でも集まってやります。一緒だと喜びは倍に、悲しみは半分になります。」

ラマダーンってなんだろう。「断食は、心と体のリセットすることなのです。欲望をセーブすることで、心や体がクリーンになるのです。」

トークはいつまでも続く。取り敢えず、説明の中で印象に残ったことを記した。日本人の案内であることもあり、非常に分かりやすい説明であった。これまで、国家、民族の視点でイスラームそしてイスラーム教についての情報をインプットされて来たが、今回はイスラーム教徒の生活からの視点での聞く事ができた。それと共に、目新しい話を聞いたと感じなかった。同じような事がかつての日本にあった。

 

 もっと知りたいと思われた方は、 「モスクにおいでよ」(瀧井宏臣/小峰書店)をお勧めします。

そして、近くにモスクがあったら、一度行ってみたら興味深い話が聞けるかもしれない。東京ジャーミーでは土日祝日の14:30から予約不要の一般日本人向け見学ツアーが有ります。下山さんが案内されますが、話が止まらなくなるのは覚悟してください。

下山さん、貴重な話ありがとうございました。又お邪魔します。

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