色 いろいろ

毎朝ラジオを聴きながら歩く。前日のTBSラジオのニューストーク番組"荒川強啓のデイキャチ"をラジオクラウドで聴きながら。ところが3月末で突然の番組終了。人気番組であっただけに何かを感じさせる。止む無く"荻上チキSession22"と二人同行。この番組もいつお別れとなるか。週日の番組の為日曜日には土曜日放送の"久米宏ラジオなんですけど"がお供。

先日、ゲストにステンドグラス職人の加藤眞理(まこと)さんを迎えてのトーク。「フランス人と日本人は色彩感覚が異なる」から始まった。私もそれを強く感じていた。街中のポスター、駅のサインそしてディスプレイ。

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カルチェラタン/Paris

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Le Creusot-Montceau TGV

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コンフリューアンス地区/Lyon

フランスでは子供の時から教会に通いステンドグラスを眺め続ける。従って透過光による色で色彩感覚が形成される。一方、日本にも障子は有るものの,色を感じるのは反射光によるものである。ステンドグラスを学び始めて思い通りの色を出すのに5年が掛かったそうである。反射光の色を透過光の色に置き換えることが出来ず、大事な色のバランスが思い通りに表現できない。赤く描いた薔薇は透過光では黒い薔薇になる。ステンドグラスにはヨーロッパ式とアメリカ式があるそうで、前者はガラスにデザイン着色した後に焼成するが、後者は色ガラスを組み合わせてデザインするそうだ。因みに、材料のガラスは特別なものでフランスからの輸入品だそうだ。光の三原色を混ぜると透明無色になるが、色の三原色を混合すると不透明の黒色になると習った事を思い出す。ステンドグラスを外から反射光で見ると

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ステンドグラスの色と言えば、以前紹介したパリ郊外のシャルトル大聖堂での日本人修道尼との出会いを思い出す。 堂内を歩いていると突然後ろから声を掛けられた。時間が許せば案内してくれるとの事。ただ凄いの一言で漫然と歩いていたので、有難いお誘いであった。先ず案内されたのは多くのステンドグラスの中でも特別の物とものとも思われない二面のステンドグラス。一人であれば立ち止まることは無かったであろう。

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説明によると、シャルトル大聖堂は嘗て火事に見舞われ、多くのステンドグラスが失われた。その後修復されて現在の姿になっている。左側はその後の修復によるものだが、右側は幸運にも残された創建当時のもの。青色の深みが全く違う。右側が所謂"シャルトルブルー"。現在に至るもこの色は再現できていないそうだ。残念ながら写真では真の"シャルトルブルー"を伝えることが出来ない。この場に佇む以外に無いのである。そしてもう一つのシャルトルブルー。

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残されたステンドグラスの部分を寄せ集めたものだそうだ。絵柄のストーリー性は失われたが、それには関係無く伝わってくるものを感じる。

 

パリノートルダム大聖堂のステンドグラスは不幸中の幸いにも焼け落ちなかった。立地が良い為多くの観光客が押し寄せているが、ステンドグラスは19Cのもので歴史的価値は低いらしい。観光+αの関心をもって旅をすると思いがけない所でいろいろのものが 見えてくる。名前は伺わなかったが案内いただいた方に感謝である。

 

葛飾北斎伊藤若冲のベロ藍を透過光で表現したらどんな色になるのであろう。 

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貝甲図  伊藤若冲

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凱風快晴  葛飾北斎