日本橋は燃えているか
今、パリは燃料費増税反対のデモで燃えている。数ヶ月前、フランスを訪れた時空港建設反対で、SNCF(フランス国鉄),Air Franceのストに出くわしあたふたしたのを思い出す。3ヶ月に渡る計画的かつ散発的ストにも拘らず市民の冷静な対応には感心させられた。生半可な理解かもしれないが、両者の対応には違いがあるもののフランス革命以来の何かが脈々と流れているものを感じた。
先日、神楽坂訪問に触発され日本橋"三重テラス"の「江戸小紋と伊勢型紙〜日本橋と三重を結ぶ職人の美意識」と題するトークショウに出かけた。日本橋を渡り、進んで行くとなんと居並ぶ新旧の建物のファサードが紅く染まっている。日本橋は燃えているのか!
江戸小紋の"光の刺繍"「真紅の光街〜日本橋」と銘打ったライトアップであった。
トークは江戸小紋のデザイン監修をした落合(新宿)の廣瀬染工場四代目染師廣瀬雄一さんとファッションジャーナリスト生駒芳子さんの対話に始まり、途中からその型紙を彫り上げた三代目伊勢型紙彫刻職人今坂千秋さん、伊勢杜氏の伝統を引き継ぐ蔵元清水清三郎商店社長が加わり話題が広がっていった。伝統を受け継ぐ職人の話は非常に興味深いものであった。ご多聞にもれず和装文化の縮小による売り上げの低迷とそれに伴う工房及び職人の減少が大きな問題であるが、新商品の開発や海外への展開で問題を乗り越える努力が続けられ、最近では僅かではあるが新しい若い人材が確保されているとの事。
中でも興味を引いたのは伊勢型紙であった。廣瀬染工場では古くから伝わる型紙を3,000〜4,000保有しているが、新しい血を入れるべくフランスの若手のデザインも採用している。基本はあるパターンの展開であり、AIを導入すれば簡単かつ精度の高いデザインが出来上がると言われるが、手仕事によるある種の誤差による"揺らぎ"が美意識に触発し、これこそが職人技の真髄でありAI技術と言えども実現できないものであると声を強めて話された。納得!
伝統的デザインでもモダンを感じさせる。
新商品の開発は「comment(コモン)」ブランドのストールからTシャツへと展開している。
更に、お酒のボトルにも
トーク終了後表に出てライトアップをじっくりと眺める。日本橋三井タワービルの正面入口上部には今回染め上げられた江戸小紋
隣の三井住友信託銀行の古いビルは控えめに
周りのビルにも