ヴァラントレ橋の悪魔

5月25日,巡礼路17番目の宿泊地は赤ワイン「vin noir」で知られたCahorsカオール。フランス最大のドームを持つ世界遺産サン・テティエンヌ大聖堂がある。
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しかし、へそ曲がりの私の興味を引いたのは外壁軒先?の人面群であった。恰も百羅漢像のごとく様々な表情が楽しめる。
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標高は既にほぼ200mまで下がっており、ロット川の蛇行が市街地を取り巻いている。
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翌朝、街の出口に当たるヴァラントレ橋に向かう。(左側の赤い旗)
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三つの塔を持つ要塞化された橋で、フランスで最も美しい橋とされ世界遺産に指定されている。真ん中の塔には悪魔が住んでいると聞き及んでいたので上を見ながら橋を渡る。噂通り、塔にしがみつく悪魔の姿が目に入った。こちらでは悪魔は必ずしも悪者ではなく、そのせいか愛嬌のある表情である。
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こうしたものには謂れが付き物である。帰国後インターネットで調べてみた。
 
 「14C初頭、工事を請け負った石工の棟梁が納期に間に合わせる事ができず、自分の魂と引き換えに納期通り完成できるよう悪魔と取引をした。しかし、棟梁は完成間近に命が惜しくなり、悪魔を工事に必要な水を取りに上流に行かせた。悪魔は途中で騙された事に気付き引き返し、その仕返しとして中央の塔の石をひとつ外し呪いをかけた。代わりの石を嵌めてもその石がすぐにずれ落ちるように。
1879年、橋の修復の際工事請負人が石がひとつ欠けているのに気付き、そこに悪魔の彫刻を取り付けた。壁にへばりつき石を外そうとするが外す事が出来ない悪魔の彫刻を。」
 
豊富な水量を誇るロット川に橋を架ける困難から生み出されたものらしい。こうした話には結構とってつけたようなものが多いが、これにはなんとなく納得がゆく。
 
逆光の朝日に輝く姿を振り返りながらCahorsを後にした。
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