路面のギャラリーその1

NHKBSプレミアム関口知宏のヨーロッパ鉄道旅」の再放送にチャンネルを合わせる。鉄道と徒歩と移動手段は異なるものの、私の旅のスタイルに似ているからだ。今週は懐かしいポルトガルが舞台。海岸線に沿って街並みが展開し、その前面に広大な砂浜が広がるリスボンの北部の漁師町ナザレ。

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早朝、静まり返った遊歩道を散策していて砂浜を覆う日影についつい立ち止まってしまう。まるで砂浜に描かれた束の間の巨大絵画である。作者と目される朝日の方向に眼をやった。そして気がついた。なんと砂浜に描かれているのはナザレの街並みである。昼間に眺めていた景観は一気に吹っ飛び、この景観が私にとっての"ナザレ"としてインプットされた。

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遊歩道の前方に眼を移すと、海岸に向かって伸びる路地とその間に建つ建物の縞模様の連続がこの街の構造をイメージさせる。

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砂浜に踏み入れ水際に向かって進むと、朝日でありながら強い光に浮かび上がった砂の起伏を横切って伸びる三又の刻印が縦横に伸びている。

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周りを見渡すと名も知らぬ海鳥の群が飛び交っている。そうか、これは朝日と鳥達のコラボ作品であったのか。

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長時間の歩行で疲れたり、単調な景観が続く時ついつい視線が下がる。そのせいか多くの路面の印象、特段ラテンの強い陽射しが生み出す陰影が強い印象となって刻み込まれる。

巨大な水道橋で知られるマドリード北部のセゴビア。その水道橋、そばに立つと物理的な巨大さに圧倒される。しかし、私はその足元に延々と続く明暗の連続は、その背景となっている数千年の歴史に想いを及ばせた。

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更にマドリード北部の城塞都市アビラ。街を取り囲む長大な城壁ウオーキングコースのゴールでは地上の大きな城門が迎えてくれる。道行く人はその城門を潜って地底の街に戻って行くと、つまらない妄想をしてしまう。

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スペインのアンダルシア地方のロンダには最も古い闘牛場が残されている。強い陽射しが生み出す強烈な陰影。sombra(最も高価な日影席)からは今にもオレー!と声が聞こえてきそうである。

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トレドを南に下ると風車の村コンスエグラ。荒涼とした荒野に佇む風車を眺めていると、どこかでドン・キホーテに出会えるのではないかとの想いに及ぶ。

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続く