記憶のかけらー日差しが描く  

歩き旅の楽しみに日射しが描くアートがある。キャンバスには色がついているが、黒一色で描き出しているところは水墨画に通じるものを感じる。

 

スペインの日差しの強さは強烈である。従って、描かれたものも強烈で変にリアリティを感じさせる。日差しというより”陽射しと書いた方がわかりやすいかもしれない。

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2014年6月28日 陽射しの強さ スペイン/マドリード after 「北の道」

ロッコは赤道に近い為、ほぼ真上から日が差す。外を歩いていても日差しの描くアートに出会わない。しかし、メディナの路地を歩いていて、ふと足元を見るとアートがあった。上方に目をやるとそのアートを描いた日除けが続いていた。

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2015年7月7日 真上からの陽射し モロッコ/Tangerタンジェ after 「銀の道」

 

何度か書いてきた大西洋に面したNazareナザレの砂浜は絶好のキャンバスでもあった。西から差す朝日が広大な砂浜に力一杯背後の街並みを描いていた。

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2013年6月3日 砂浜がキャンバス ポルトガル/Nazare after 「ポルトガルの道」

セーヌ河畔のアラブ世界研究所の壁面のガラスパネルは太陽の光に応じて開閉する。さらに、それに応じて床面に描かれたアートも変化してゆく。

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2018年5月6日 アラブ世界からの陽射し フランス/パリ before「 ル・ピュイの道」

 

公園内に移築された民家は開口部に様々な建具がはまっている。その建具が畳の上に描いたものは和を感じさせる。

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2018年10月2日 和の日射し 東京都/練馬区石神井公園 街歩き


私は写真家でもないのに、写真との距離が近すぎる。近すぎることによって、いつも写真を撮らねばとか、撮っておけば後で仕事で使えるなどと思って、とりあえず撮っておこうという気持ちが働いてしまう。そうなると安易に写真ばかり撮って、印象も撮れたと勘違いしてしまう。

  「途上の旅」 若菜晃子/KTC中央出版