ガウディを訪ねて15-カサ・バトリョ 20150702

 カサ・バトリョは当時の都市建築である。日本では一階にあたるgroundfloorは貸店舗、二階にあたるfirstfloorは自邸、そしてsecondfloorから上を住宅として賃貸していた。エントランスを入ると右手に賃貸住宅用のエレベーターと階段がある。さらに奥に進むと自邸のエントランスホールがあり、恐竜の背骨を思わせる専用の階段がメインフロアへと誘う。

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階段を登りグラシア通りに面したトリビューンに向かうとおなじみの眺め。波打つ開口部の建具そしてブルー系統の色ガラスでデザインされたステンドグラスはファサードからインテリアへと 「海」の物語を展開する。骨に見え奇異に感じた開口部の方建て?を間近に見るとお馴染みの植物それも可憐な花が絡み付いている。

窓は部分的に開閉可能で下部の腰の部分には換気口がもうけられている。

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窓の取っ手は模型で握り具合を確認しながら決めたと思わせるなんとも言えない形をしている。

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 賃貸住宅を繋ぐ階段は緩やかに波打つ鉄のフレームと表面が歪で青で着色されたガラスが連続し、静かな海を思わせる。

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 中央部には青色のタイルで覆われた吹き抜けがある。先ほどの外壁の換気口→吹き抜け内の開口部下部の換気口→吹き抜けと空気の流れを作る換気システムの肝である。これはイスラムが持ち込んだスペインの優れた居住システムである。巡礼中も方々の宿でも経験したが、パティオのチェアーに座って緩やかに流れるそよ風に身を任せていると、40度を超す屋外の灼熱空間を瞬時に忘れさせてくれる。

この吹き抜けには更に採光上の工夫がなされており、より多くの光を取り入れるため上に行くほど広くなっている。更に、海のイメージの青いタイルには光沢を持たせ、下に行くほど白っぽい色とし、差し込んだ光を反射光で隅々まで行きわたらせるべくデザインの裏に何気なく仕掛けが施されている。

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写真では青が感じられないがこれで良い

 

上の階は倉庫や物干しの共用スペースとして増築された。今ではその用途が想像 出来ないが最も感銘を受けるスペースとなっている。その形態は屋根を支えて高い階高を確保する為の構造上の要求と屋根のデザインから生み出されたパラボラアーチである。

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 更に屋上に上がる階段が二箇所あるが、この裏階段とも言えるものが全くおろそかにされていない。

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 屋上にはお約束の宇宙人が並んでいる。これも機能から生まれたデザインか。

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 見どころは色々あったが、捻くれ者の私にとっては階段が最も興味深かった。