記憶のかけらー地上の衣文

前回衣服に現れた折れ目状のものを衣文として紹介したが、果たして正しい表現であったか自信がない。なんと呼んだら良いのだろうか。

それはさておき、同じような状態を景観の中でも見出し興味深く眺め続けた。

 

バルセロナグエル公園は、ガウディの最大の講演者であったグエルが構想した分譲住宅地であった。60戸の住宅を予定していたが、実現したのはグエルとガウディが住んだ2戸のみで未完成に終わった。ガウディは大階段上部の中央広場を住民の共同生活の憩いの場、そして市民の集いや宗教的儀礼の場と考えていた。転落防止を兼ねた周囲の波打つベンチは破砕タイルで覆われて、独特の景観を創り出し多くの観光客で賑わっている。

f:id:peregrino:20220321160555j:plain

2015年6月30日 幻の田園都市 スペイン/Barcelona after「銀の道」

 

ポルトガルの王家の避暑地Sintraシントラには、華やかな王宮や宮殿に混じってイスラム教徒のムーア人によって7〜8Cに築かれた無骨な城跡が残されている。山の斜面に石垣で築いた城壁がクネクネと続く。今にもかつての兵士が現れてきそうだ。

f:id:peregrino:20220321152634j:plain

2013年6月10日 ポルトガルの天空の城 ポルトガル/Sintra after 「ポルトガルの道」

 

中央山塊Massif Centralの巡礼路を抜けると、広大な農地が次々に現れ農業国フランスを実感する。決して平坦な土地ではないが、心地よい起伏が歩き続けの疲れを忘れさせる。農業を大事にする国は将来に期待が持てる。日本はどうだろうか。不安感が過ぎる。

f:id:peregrino:20220321162032j:plain

2018年5月26日 農業国フランス フランス/Montcuqモンク 「ル・ピュイの道」

 

棚田は農地としては適さない厳しい地形の土地で、農民が生活上やむなく創り出した農地である。熊野古道伊勢路の途上の熊野市から内陸部に入った「丸山千枚田」の存在を知り立ち寄った。そこには残念ながら訪問を諦めたマチュピチュが待っていた。

 

f:id:peregrino:20220321162427j:plain

2016年5月18日 日本のマチュピチュ 三重県/紀和町 「熊野古道伊勢路」の寄り道

 

井上 何がレガシーになるかというのは、時間が経ってみないとわからないんじゃないでしょうか。

青木 要らないから壊すという風にならず、ずっと使われていた結果がレガシーということですね。

  「イケズな東京」 井上章一青木淳/中公新書ラクレ