出会った橋ー四国遍路-2

2月25日,難所遍路ころがしをクリアし、標高700mの12番札所焼山寺で般若心経を納めた後、今夜の宿「プチペンションやすらぎ」に向け長い下りに入る。ところが危惧していた腰痛が再発し、宿まで2kmの河野橋で我慢がならず宿に迎えの電話を入れる。歩き遍路を貫徹したいと言う意地から迎えの車にバックパックを預け、歩いて宿に向かうことし真っ暗な道を宿に辿り着いた。今様に言うと第1波は治まっていなかった。

その後は幸いにも痛みに苦しむことなく高知県に入る。3月2日には室戸岬の24番札所最御崎寺で納経を済まし、宿坊の26番札所金剛頂寺に向かった。

その後痛みを忘れ雄大な太平洋を左に見ながら西へ西へと順調に進む。

遍路では民宿を主とし色々な宿を楽しむことができる。宿坊、ペンション、国民宿舎、旅館、ホテル、善根宿等々。中でも家族で経営する民宿がそれぞれ特色がありお勧めである。

高知市手前の香美町の28番札所大日寺の先に「遊庵」と言う良い民宿があると教えられた。即、携帯で予約を入れた。リタイアした松山の人がご夫婦が営んでいる小さな小さなお宿である。遍路中に宿泊した40弱の宿のマイベストである。説明は抜きにして写真で想像して頂きたい。

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ご夫婦と話しているうちに急遽連泊へと予定変更する。翌日は空荷で高知県営フェリー種崎渡船場まで歩き宿の主人の車で宿に戻った。明くる日早朝にそこまで送り届けてもらい遍路を続けた。

歩き遍路は自分の脚を頼りに歩き続けるわけであるが、遍路道が水路で遮断された場所は止む無く渡し舟に頼った。前日のゴール地点は高知港のある浦戸湾の湾口でその場所に当たる。嘗ての渡し舟今ではフェリーに代わり無料で対岸に渡してくれる。田中陽希に倣って人力踏破を全うするなら少し下流に桂浜に向かう橋を渡ることができるが、昔からの遍路道に倣いフェリーに乗船する。早朝の冷え込んだ空気の中を進む。右手に朝靄に煙る高知港のクレーン群が現れる。幻想的な眺めである。

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左に目を移すと、朝焼けを背景に天空に架かる架け橋を想わせる浦戸大橋が目に入る。後日の調べるとトーキョーゲートブリッジももらった土木学会田中賞を受賞しているそうだ。その事実を知らなくとも美しい橋を実感した。橋上からの展望が素晴らしいとのことであるが、その構造上自殺の名所になっていると言う。

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この橋は歩いて渡る橋ではなく遠く海上から眺める橋である。選択に誤りは無かった。対岸で下船し感動の余韻を抱えながら33番札所雪蹊寺へと向かう。

     

22日、行きつけの八重洲地下街の歯医者に検査に出掛ける。ほぼ5ヶ月ぶりに都心である。不要不急ではないが、自粛疲れもあり感染予防の為出勤時を避け9時過ぎに地下鉄に乗車した。ほぼ座席が埋まるぐらいで全員マスク着用。うっかりマスクを忘れていたら冷たい視線がブスブス突き刺さったのではとゾッとした。目的地の最寄り駅から約10分位外を歩いている時には3〜4人のノーマスクを見かけた。

歯医者では異常なしの華丸を頂いた。因みに、今朝テレビで歯周病が新型コロナ感染の重症化リスクが高い?と言っていた。

次にプリンターの用紙の補充の為数寄屋橋ビックカメラに向かった。このブログを書いているIPadがよる年波で買い替えを考えており、店員とは間隔を保ちながらゆっくりと説明を聞いた。客が疎らなのでAIに弱い私にとっては好都合だった。

次に企画展TDC2020のギンザ・グラフィック・ギャラリーに久しぶりに立ち寄った。

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新橋地下街にさかな専門の7〜8人カウンター席の店があり、近くに出掛けた時によく立ち寄っていた。昼食時をちょっと過ぎていたので寄ってみた。客は3人で密ではなかったので入店した。繁雑時に間隔を空けている様子も無く消毒液も備えていない。これが実態かとチョットばかり気になった。

深く息をしながら歩く私にとっては長時間のマスク着用での歩行は重労働?だったが、テレビで毎日映し出されていた街中の様子に直に接した貴重な半日となった。感染予防には十二分に配慮していたが、結果が出るのは2週間後である。

私のささやかなGo To トラベルであった。

 

23日夜、突然パンパンと弾ける音。ベランダに出ると向かいの建物の間に花火。地域に馴染んできた"としまえん"が8月に幕を閉じるに当たっての惜別の挨拶か。それとも、新型コロナ禍の厄払いか。

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