マイナーな歴史も楽し

箱根駅伝出場の決まった喜びに沸く国士舘大学が、創立100周年記念として1821年に伊能忠敬が作成した大地図「伊能図」が展示されると聞き世田谷に出かけた。正・副図は既に焼失し今回は米国所蔵の複製を基本としたレプリカであるが、旧体育館の床一杯に並べられた1/36,000の200枚余の地図上を歩き回れた。その精緻さのみならず美しさに終了時間まで何度も日本列島をトレイルした。

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ウィキペディアの写真借用

帰路"せたがや文化マップ"を手に周辺を歩く。先ずは吉田松陰を祀った松陰神社。斬首後小塚原に放置されていた遺体を伊藤博文等が長州藩の屋敷のあったこの地に改葬したとの事。次は建て替えにあたって前川國男設計の現庁舎の取り扱いで揉めた世田谷区役所。結果は第二庁舎を残すとなったが、薄汚れたコンクリート打ち放しの建物に対する区民の思いは微妙であろう。お白州跡のある重文の世田谷代官屋敷、世田谷吉良の菩提寺勝光院、源義家創建と言われる世田谷八幡宮を経て、彦根藩主伊井家菩提寺豪徳寺へ向かう。奥の一画に井伊直弼を中心に歴代藩主の墓がズラリ。質素であるがネームバリューからか威圧感を感ずる。二代藩主が門前の猫の招きで寺に雷雨を避け、和尚の法談を聞け大いに喜び、後に伊井家の菩提寺にしたとの伝説があり、招き猫の発祥地とされている。大河ドラマ「直虎」のお蔭もあり、外国人観光客を含め結構参拝客が見られた。かつて歴史教科書で見かけた名前に次々と出会わせた歴史探訪を楽しんだ。

先日地下鉄で初めて席を譲られた。自分はまだ譲る側だと自負していたが、ついにその時がきたのか。

       初めての   譲られし席    秋の暮       擬き