出会った橋ーポルトガルの道−2

5月16日,ポルトガル第二の都市Portoに向かう。昨夜は途中から同行者となったイタリア人二人連れとフランス人と共に老人ホームがボランティア活動として運営する宿のお世話になった。入居者と夕食を共にしたが、流石に量が物足りなくて外に出かけた。

雨の中、昼過ぎにPortoの街に入る。見所満載の町なので2泊を予定しており、昼食後先ずはアールヌーヴォーの内装が愉しめる書店レロ・イ・イルマオンに出かける。イベリア半島の地図を買ったが、店の中は見学目的の観光客で溢れかえっていた。その後、カテドラル、教会、駅舎、地下鉄ホームとアズレージョのタイル絵を追いかけ回した。

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 翌日はドウロ川を越え対岸に点在するワイナリーにワインの試飲 に出かける。渡る橋ドン・ルイス一世橋はかのエッフェルの弟子が設計し、Portoのシンボル的存在となっている。エッフェル自身も下流に見える橋のもう一つ先のマリア・ピア橋を設計しているが、こちらは知る人ぞ知るである。

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 地形との関係で橋は二段になっており、上段はメトロと歩行者、そして下段は自動車と歩行者が通行している。赤色の屋並みの上にドッシリと腰を据え、エッフェル塔の様に軽快な鉄骨で構成されたフォルムは何時まで眺めていても飽きがこない。

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次の日、Portoを出て10km位進むと川に出会う。紀元前にローマ軍が北上し半島を占領した際に建造したのであろう橋を渡る。

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5月20日の宿Ponte de Limaはポルトガルで最も古いヴィラと言われている。リマ河畔にはテント張りの市場が展開し、周辺地域の住民が集まって来ている。

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宿は橋を渡った対岸にある。この橋は中世に建造されたもので、川面に映りこむ空と連続するアーチが絵になる。橋の名前のPonte de Limaポンテ橋がそのまま地名になっている。分かりやすいし何となく街のイメージが湧いてくる。

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5月25日,ミーニョ川を渡りスペインへと国境を越える。EUとなった今もやはり国境と言うのだろうか。以前紹介したが、渡る橋は鉄骨製の正方形の籠である。中を車が走り屋上を電車が通過する。歩行者は何処をと探す。すれ違うにはお互い横向きにならねばならず、足元の隙間から川面が見え隠れし、手摺は寄りかかればそのまま落下しそうなテラス状の通路が駕籠の外にへばり付いていた。高所恐怖症の私には冷や汗ものであった。巡礼後ポルトガルへ電車で引き返したがこの橋の記憶がない。

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続く

 

計画され支度されていたものがひとたび実行に移されると、旅は新たな一面を見せるようになる。(中略) 旅そのものが人格や感情を持ち、個性的で独特なものとなる。旅自体が一個人であり、似たものは二つとない。あらかじめ計画していようが安全を気にかけていようが役にたたないし、規制したり禁止したりしたって無駄である。

(中略) 人が旅に出るのではなく、旅が人を連れ出すのだ。

                    「チャーリーとの旅」 ジョン・スタインベック/ポプラ社