光と影–3


東京都庭園美術館に出かけました。
この美術館はご存知のように、1933年建設のアール・デコ様式の旧朝香宮邸です。昨年末リニューアルオープンして、その真髄に一層の磨きがかかっています。建物、インテリア、庭園そして企画展示が一体となった私のお気に入りの美術館です。
今回の企画展示は"アール・デコの邸宅美術館"です。

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現在開催中の展示のポスター

特にインテリアは素晴らしく、小ぶりですが海外の美術館に引けを取らないと思います。

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大客室から次室を望む

展示品は三人の日本人コレクターのコレクションです。
玉子生産で財を成した伊勢彦信さんのコレクションは家具什器中心。私の一押しは二脚の椅子です。残念ながらデザイナーは失念。絵柄はマリー・ローランサンだったと思います。私の鑑賞態度はこの程度です。

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DCブランド「BA-TSU」の創業者の松本瑠樹さんはポスターコレクター。沢木耕太郎の「深夜特急」の表紙カバーでお馴染みのフランスのポスターデザイナー  カッサンドルの一連の大型ポスターは圧巻。一人旅人の端くれの私としては「深夜特急」を読み返す度に、一度本物にお目にかかりたいと思い続けていました。やっと願いが叶いました。残念ながら撮影禁止。

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深夜特急の表紙カバー

そして三人目は故大村清一郎氏のルネ・ラリックのコレクション。普通、目にしないデザインの作品に出会えましたが、これも撮影はNO。

今回の本題は光と影で、昨年末に訪れた時に出会ったものです。その舞台は新館に渡る通路部分です。外部テラスに面したガラスの壁に無数の凹みが有り、太陽光がガラスを通過しその光と影が通路の床と壁に映り込んでいます。太陽の位置により限られた時間にのみ現れる巧まざる作品でしょうか。

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新館への通路の床と壁の光と影

更に時間が経過するともう一つの作品が突然現れました。ガラスの接合部を通った光が螺旋状の虹と成っています。敢えて言わせて頂ければこれは時間限定の作品と言えます。

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光の作品

そして外部のテラスに目をやると白色のイス・テーブルが床に淡い影を落とし、そのコントラストにスペインでは見られない日本らしい光と影の演出を実感しました。

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屋外テラスの光と影

興味をお持ちの方はお出かけになっては如何でしょうか。ただし、今回は昼過ぎという時間帯のせいか、この光と影の演出には巡り会えませんでした。