出会ったサル

オーストラリアとサルがどう繋がるのか。インターネットで調べ分かりました。戦後、旧蜂須賀邸がオーストラリア大使館として使われた後、建て替えの為取り壊され、当時の門柱だけが残っているそうだ。

一方、立ち烏帽子に御幣を担ぐ猿は日枝神社の神猿をモチーフにしているらしい。日枝神社の境内には狛犬でなく猿が置かれている。

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猿は神様と人間の間を取り持つ存在として、昔から敬われる存在であった。"さる"という音から「勝る(まさる)→魔が去る」とも考え、勝運や魔除けの神とされた。そこで、屋敷を構える時鬼門にあたる北東の方向に猿の像を設置したと思われる。大使館関係者がその謂れを知り、新しい塀の元々あった場所に設置したものと推測される。因みに、新宿河田町の現在はレストランとなっている旧小笠原邸にも同様のものが鎮座している。地下鉄工事で取り壊された塀に設置されていた同様のレリーフが運良く保存され、後日エントランス脇に設置されたそうだ。以前訪れたことがあるが残念ながら気がつかなかった。

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銀座でも猿に出会った。四丁目の裏道に祀られている宝童稲荷の猿結参道で渡辺元佳さんの猿が道案内。更に進むとペアの猿が迎えてくれた。

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スペインで唯一出会ったサルはサラマンカの大聖堂の北口にいた。悪魔然とした顔で、何とソフトクリームを手にしているではないか。驚くには当たらない。ここには以前紹介した宇宙飛行士が宇宙遊泳をしている。

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 フランスはネコの町ラ・ロミューでは土産屋の店内で"三猿"ならぬ"三猫"に出くわした。日光を訪れた店主がこれは商売になると商品化したものか。SAGESSE(智慧トリオ)とあり€39(4,000円弱)。

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スペインやフランスでは色々な動物に出会ったが、出会ったサルはこの二例に止まる。インバウンドの欧米人が猿に異常な興味を持つのはもむべなるかなである。

 

一方南米はブラジルの猿。白金台の庭園美術館で開催された僻地に住む原住民が作った動物をモチーフにしたスツールの展示では猿も多く登場し、その素朴であるが思わず見入ってしまうデザインに住民と動物との関係性が伺われた。

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先日、晩年練馬区に居住され、自らを「造形作家」と呼ばれることを好んだ品川工(1908-2009)さんの展示会に出かけた。氏のことを初めて知ったが、作品の素晴らしさは当然であるが、100歳を超えて亡くなられる直前まで様々な制作手法に取り組むチャレンジ精神には感服した。

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ところで、11月15日のブログでアップした失敗作"オブジェ上の虚像美術館"の撮影に再チャレンジした。色々と角度を探った結果

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 美術館の下階の図書館のトイレで出会ったサイン。場所も場所であるが、声には出さず「三歩前進したら便器にぶつけてしまう」と・・・・

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三田再訪

都営地下鉄大江戸線赤羽橋駅に降り立ち、神明坂を南に進み日向坂を渡ると右側に濃い青味がかった色の塀が続く。その片隅に薄茶色で正方形の陶板が目に入る。近づくと御幣を担ぎ烏帽子を被った猿のレリーフ

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疑問を抱えながら先に進むと鉄製のゲートがあり、そこにはオーストラリア大使館の銘板がある。和の風貌の猿とオーストラリアがどうしても結びつかない。疑問を抱えながら目を左に写すと、建物の大理石の外壁に向かいの建物と樹木が見事に映り込んでいる。最近ハマっている街中の虚像収集でやっと満足のゆく逸品?をゲットできたと感じた。今日の目的地は三田四丁目の寺町であり取り敢えず先を急ぐ。

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慶應義塾大学が企画した同大キャンパスツアーに引続き、今回は「寺院再訪:寺町の形成と変容」と題するレクチャー・見学会である。希望者三倍の難関を潜り抜けての参加である。

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先ずは、浄土真宗の明福寺で慶大上野准教授のレクチャーを受ける。概略、中世の江戸氏に始まり太田道灌、北条氏配下の遠山氏と築かれてきた江戸の街。徳川氏の天下普請の首都づくりによる江戸城の拡張に伴い、寺院も城下外殻部に移転し、寺町と呼ばれる特定宗派に限定されない諸宗派が並存する寺院密集地区が形成された。三田寺町は江戸時代末には50ヶ寺あったが、現在もも32ケ寺残っており港区最大の寺町との事。

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明福寺中根19代住職によると、城下外殻部の台地上と言う立地から大火・震災・空襲といった大災害を回避し、本堂は1799年の建立時のものであり、多くの関連資料等も残されているとの事。素晴らしい襖絵(パンフレット)も残っている。内観の写真撮影はOKであるがSNSはNO。外壁は火災に備えてか珍しく漆喰塗りである。

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引続き近傍の禅宗曹洞宗玉鳳寺に場を移し、昼食後に村山住職の話を聞く。

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曹洞宗のモットーは"政治・権力に近づかない"。その為か、総本山永平寺福井県永平寺町。因みに駅伝や野球で名を聞く駒澤大学曹洞宗の流れを汲んでいるそうだ。全国7万ヶ寺の内曹洞宗は1万5万千と最多。この辺りは地上げが進み、300の檀家はバラバラになり今や歩いて行けない。その内約50は後継なしで墓仕舞いが進む。年に約5%のお宅で葬儀がある。敷地は約300坪。地価は約550万円/T。営利業に一部転用している寺もあるが、年に約5%の葬儀があり何とか持ちこたえているので税金の事を考え思いとどまっている。・・・・と世相談義が続く。墓地には当時宝塚のトップスターでありながら日航ジャンボ機墜落事故で亡くなられた檀家の北原遥子さんがモデルの「美耀観音」が鎮座し、宝塚同期の黒木瞳さんが今でも毎年訪れているそう。ひょっとして・・・

最後に参加者が揃って般若心経を唱えてお焼香をしたが、私にとっては200回以上唱えた2012年の四国八十八ケ所巡礼以来の般若心経であった。

退出時に子供姿の六地蔵が目にはいり、その仕草につられてパチリ。

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更に、同じく禅宗臨済宗の龍源寺に移る。本堂はRC造に建て替えられている。「自分の内なるものに尊のとうとさを見出せ」との事。宗派の違いなのか住職の性格なのか、ここでのお話は控えめで余り印象に残らなかった。因みに十五派の本山が有り、京都花園の妙心寺大本山である。境内には樹木が生い茂り荘厳な雰囲気が漂っていた。ここにも六地蔵がひっそりと佇んでいた。

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そして表面を磨き上げられた石のテーブルに・・・・・・

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この辺りは良い檀家に恵まれているのか、 訪れた各寺では隅々まで手入れが行き届いている様に見受けられた。

今回は、宗教そのものでなく寺町に焦点を当てた江戸城下の形成の一端に触れることができた。観光寺でなく、地域に根付いた普通の寺院に接する事により、真の仏教に少しながら近づけたと感じる。

 

猿の疑問は後日・・・・・・・・

 

写真に対しては、誰でも写すことができる本来の意味は、簡単に撮れるメカニズムを超えて、体験や思いを拠り所にその人なりの感受性で世界をつかむレッスンなのだという誇大妄想を抱いている。

             「誰をも少し好きになる日」鬼海弘雄/文藝春秋

 

 

 

 

 

六本木から上野へ、そして

又々、テレビ番組情報に促されての街歩きである。「ぶらぶら美術館・博物館」の山田五郎さん御一行が、上野の東京国立博物館で開催中の住友財団修復助成30年記念「文化財よ、永遠に」と題する特別企画展を訪れていた。

久しぶりの快晴の11月末,六本木のFUJIFILM SQAREに向かう。先ずは、ヒッチコック、デヴィット・ボウイ、スティーブ・ジョブズといった時代の寵児を撮影し、「ポートレートの巨匠」として名高いアルバート・ワトソンさんの回顧展。偉大さを美しく切り取っている。

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 誰だかわかりますか。1898年撮影の若き日の坂本龍一さんです。

そして、あの円谷幸吉さんを含む5人のアスリートの「走る」という行為に人生を賭けた、栄光と苦悩、挫折の軌跡をビジュアル化して、KYOTOGRPHIE 2019ポートフォリオレビュー賞を受賞した関健作さんの作品展と 、その一人である世界陸上400mハードルのメダリスト為末大さんとの対談。直に話を聞くと色々と考えさせられる。毎日の様にテレビや新聞で派手に取り上げられているラグビー選手。そして、オリンピック後の選手達に思いを致す。

 

場所を移して湯島の近現代建築資料館。嘗て、東京駅や大阪駅の駅前広場に立った時、最近のビルの様な過度な自己主張は無いものの、ちゃんと存在感を保持していた中央郵便局。その設計者の「吉田鉄郎の近代」と題する展示とギャラリートークは一見して建築関係者と分かる一団で賑わっていた。

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東京では、今は亡き鳩山邦夫さんの一声で辛くもファサードだけは生き残っている。と嘆いている私の撮った写真では下に沈み込んでいる。

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大阪では、今や跡形も無く空き地然としたまま?再開発を待っている様である。

ヨーロッパでは古い建物は内部は現代に合わせて改修するも、嘗ての街並みの一部として残されている。

 

有難くも国立東京博物館本館には70歳以上は無料で入場できる。主として東日本大震災等の災害で損傷し住友財団の浄財に寄って修復された仏像群が一堂に会している。

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一部重要文化財が含まれるものの、修復資金が儘ならぬ地方の仏像が大半で、所謂脚光を浴びる観光仏像ではない。しかし、平安時代前後の古いもので、長い歴史の中で施された着色は取り除かれたこともあり、本来の素材感や素朴な風貌は、これまで見てきた仏像とは違ったものが感じられる。最も魅了された仏像は9世紀福井の高成寺蔵の重要文化財千手観音菩薩立像出会った。(パンフ左)華やかさを漂わせる千手。そして、顔や腹部に見られる木目。

 

隣の東洋館の前に特別展「人、神、自然」とあり、予定外であったが入館する。世界各地の古代文化が生み出した多彩な工芸品の展示に目を見張る。他の博物館では感じたことがない人間味が感じられた。

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パンフレットによると

"古代の人々は、自分たち自身をどのように表現したのでしょうか。神々や死後の世界、自然界をどのように認識したのでしょうか。古代の工芸品には、当時の人々の意識や世界観が投影されています。"

余談であるが当館の所蔵品展と勘違いし、海外の博物館に見られる収奪品?と感じかねない所蔵品と思い、日本も・・・・。スタッフに聞いたところ、カタール国の王族のコレクションとの事であり、事前の予備知識の不備とは言え妙な安心感を覚えた。

常設展は中国、朝鮮を中心に展示されており撮影可能であった。頭部のみであるが中国後漢時代の巨大な石仏の微かな微笑みなに目が止まった。

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上野に向かう途中、不忍池水面の立ち枯れた蓮の葉に冬を感じ、

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青々とした初夏の風景を思い出し、時の経つ早さを実感した。

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先日、久しぶりに白金台の庭園美術館を訪れた。そこでは未だ色濃く残っている秋の佇まいを楽しめた。

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展示は「アジアのイメージ」 と題し、大陸から輸入された古典美術とそれに憧憬の念を持つ日本の近代のアーティストの作品を並列しながら鑑賞させるものであった。

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中でも現代作家による今も生き続けている"東洋憧憬"をイメージさせる作品は興味深かった。

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あまりにも綺麗な仕上がりに、迂闊にも樹脂製でフォルムをメインとした作品と思った。しかし、漆芸家田中信行さんの作品と知り、薄っぺらな知識と低レベルの鑑賞眼の自分に情けなくなった。近づいて様々な角度で暫くの間眺めていると、漆の奥深さが染み渡ってくる様な感じに襲われた。

 

 

 

続・私のスモールジャーニー

人権啓発イベントでロバート・キャンベルさんの話を聞いた。杉田議員の新潮24の発言に直面して、自らパートナーと生活を共にしている事を公表し人権問題に取り組まれている。今回は「『ちがい』を持つ人々との豊かな出会いに向けて」と題するトークで、当事者ということもあり色々と考えさせられるお話であった。地方を旅していると時々差別問題を垣間見ることがあり、先ずはその背景を知ることから始めている。余談として、氏がロンドン滞在中に大人は子供同伴でないと入れない公園(ホランドパーク)に出くわしたそうだ。日本では大人同伴でないと入れない施設は見かけるが・・・・

同時にソプラノとテノールの声を歌い分ける両声ヴォーカリストのマリアセレンさんの歌を聴くことができた。自分はトランスジェンダーであると。  目を閉じて聴いていると、嘗て訪れた大聖堂の中に佇んでいた時のことが蘇ってきた。

場所は有楽町の東京国際フォーラムである。テラスに出て地上に目をやると都心のささやかな秋。

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そして、前方の壁面には向かいのガラスの晩秋の反射光が碁盤模様を作り出していた。

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熊野古道を歩いた縁で熊野古道サポーターになっている。今のところ現地に赴いて山道の整備参加までには至っていないが、東京で模様される三重県関連のイベントに参加している。「令和の時代をどう生きるか〜松坂の商人の経営に学ぶ」という文化セミナーに参加すべく中央区の水天宮に出向いた。最近嘗ての賑わいを取り戻している日本橋に足を向けることが多く、そのルーツである松坂商人を知る良い機会であった。丹波屋(木綿/マルサン長谷川/会社解散),小津屋(紙/小津産業),越後屋(呉服、両替/三越百貨店),伊勢屋(鰹節/にんべん),大黒屋(醤油等/国分グループ),篠原屋(太物、小間物/イオングループ)、そして歴史でお馴染みの本居宣長。松坂商人の経営手法(堅実経営/積極経営/組織体制と運営/危機対応)が営々と引き継がれてきた。

 

大手町日経ホールの日経フォーラム「パラリンピックから見える共生社会のビジョン」。オリパラにはあまり関心はないがちょっと覗いてみた。登壇者の発言はいずれも厳しいものであった。いくつかの発言が印象に残った。

シッティングバレーボールに取り組む真野嘉久さん「共生社会の言葉は好きではない」。目に見えない壁が感じられるそうだ。

ユーチューブを通じてパラスポーツの普及啓発支援をしている鎌田和樹さん「障害は個性である」

パラメダリストで国際パラリンピック委員会教育委員会のマセソン美季さん「子供を日本に連れて来た時、日本には障害者が少ないと言っていた。」分かりますか?

そして、発言者は失念したが重い発言「知識ではなく意識」そして、「⚪️⚪️⚪️はメダルの数ばかり言っている。パラリンピックの成功はメダルの数ではない。大会後に障害者が普通の存在になって初めてパラリンピックが成功したと言える」

さておいて、モデレーターの小谷真生子さんの采配ぶりには 感動さえ覚えた。

ダンス ダンス ダンス 浅草&ラテン編

 「谷中五重塔」の話を聞いた帰りに浅草をぶらつく。ここも銀座同様インバウンドの外国人が溢れかえっている。商店街の一角のホテルの前に人だかりができ、そこから軽快な音楽が聞こえてくる。近づくとお祭りではないのに路上で着物姿の男女がダンスにふけっている。

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聞いてみると、毎月サルサを踊るイベントを開いており、飲み物付き千円で誰でも参加できるらしい。浅草と言えばサンバであるが、最近はサルサまで押し寄せてきているのか。着物姿で腰を振る姿を見ていると妙な感覚に襲われる。

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外国人の観光客も参加しており、流石下町の日本人に比べその動きは様になっている。

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7月のパリは日が長い。西部の16区と7区で朝からアール・ヌーボーアール・デコを満喫した後、日没まで充分に時間があるので、3区マレ地区の宿まで地図を片手にブラブラと歩くことにした。途中、下町らしき街角の路上で数組の男女がダンスにふけっているのに出会った。周りを見回すと一軒のカフェの中でバンドが演奏中で、通行中の人が音楽に合わせて踊り始めたようだ。

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店の中では客の子供も踊っている。

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スペインの聖地サンチャゴ・コンポステラの街角では、アフリカから来たのであろう数人のストリートミュージシャンの演奏にあわせて女の子が路上で踊っていた。"三つ子の魂百までも"?流石フラメンコの国と思った事を思い出す。

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私の好きな写真なので何度も使っている。

 

スペインはパエリア発祥の地バレンシアでは、販促の一端であるがスーパーマーケットの売り場でダンス。

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ポルトガルリスボンでは、リスボン守護聖人アントニオにちなむ聖アントニオ祭に遭遇した。大震災以前の面影を残すアルファマ地区の狭い広場や路地では人混みでごった返す中でダンス ダンス ダンス。

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日本でも、突然街中で踊り出しても異様でない時代がやって来たようだ。

 

その後、電動カート?に乗った一群に出会った。嘗て見られたマリオ姿ではない。街の風景としては面白さがあるが、目の当たりにしてみると危なっかしさが気になる。

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と、無目的で街を歩いていると思いがけないものに出会える。

 

 茶道裏千家に関係するビジネスコンサルタントの山崎武也さんが著書「持たないぜいたく」(三笠書房)で

「写真などに撮っておいて、後から見るというのは、直接に見て体験することではなくなる。懐かしく思うときには、大いに役に立つかもしれないが、茶道のその場にいて何かを感じとる機会を逸している。」

   と、述べられている。私は現地で感じた事を、後日誰かに語りかけたいと思ったときの為に写真を撮っている。

 

私のスモールジャーニー

8日、両国の江戸東京博物館で行われた探検家"関野吉晴"さんのトークイベントに出かけた。

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関野さんといえば,人類がその発祥の地アフリカから、世界各地へと拡散していった経路を、人力にこだわり逆ルートでたどる旅「グレートジャーニー」で知られており、てっきりその話が聞けると思っていた。氏によると、その後も世界各地へ旅を続けるうち50代に入り、海外はともかく自分の足元を知っていないとの思いに至る。自分の生地墨田区木下川(きねがわ)が被差別の地であったことを知り、今では少なくなった皮鞣しの工場に飛び込み、海外からの出稼ぎ労働者と共に働いたそうだ。主催者の関係もありトークはこの経緯が主たるものであった。ちなみに、もう一人の出演者は一週間前まで紛争の地シリアで活動し、直近の現地情報を持ち帰られたフォトジャーナリストの安田菜津紀さんであった。期待に応えるトーク内容ではなかったが、思いかけずも良い機会に巡り会えた。

体力・気力の減退を感じ、今年はとりあえず国内でおとなしく過ごしているが、実は私も予てから足元をもっと知りたいとの願いから、ジャンルを問わず闇雲に様々なイベントに顔を出し、その途上で思いのままの街歩きをしている。受動的な活動ではあるが、上半身(頭脳)には自信の無い私には、多少自信のある下半身(フットワーク)に頼る日々を過ごしている。

 

今月に入って、

前々回紹介した哲学者井上円了没後100年の哲学堂祭に自転車で中野区の哲学堂に出かけた。私にとっての哲学は「疑問を感じたら取り敢えず考える事」と理解した。

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インバウンドの取り込みに京都との比較をされながら苦悩している奈良の対応策を語るシンポジウムで日本橋奈良まほろば館(奈良のアンテナショップ)へ。永年奈良を拠点に活動する英国人クリエイティブディレクター安土龍さんも参加。今では3人と奈良の絶滅危惧種の舞妓の菊愛さんもお出まし。

 

今話題の「誠品生活日本橋」へ。台湾の書店が2006年から売り上げの低迷する書店の生き残り策として、海外を含めて展開している複合セレクトショップ「誠品生活」を、横浜の有隣堂と組んで日本橋に出店した。書店をキーにしながらも、モノ,コトを導入し本の消費に繋げるとし、台灣のお茶屋やガラス細工の工房まである。蔦屋もモデルにしている。

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地元の練馬区立美術館でアメリカの絵本作家エドワード・ゴーリーの展示会のギャラリートーク。この作家を初めて知ったが、あの"キャッツ"も描いている。緻密なペン画の凄さを味わった。メジャーな美術館ではないが、結構話題性のある企画を展開しており、しばしばペダルを漕ぎながら出向いている。

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表に出ると金属製のオブジェに美術館の建物。今度こそとカメラに収めたが、残念な結果に終わった。

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神田の湯島聖堂で行われたシンポジウム「時層する東京と社寺会堂」に出かけた。嘗て、賑わいを呈していた駿河台/湯島台/本郷台を宗教は異なるものの神田明神/湯島天神/上野/ニコライ堂/湯島聖堂等を緑の回廊で繋ぐことにより賑わいを取り戻そうという研究会である。東大/東京理科大といったアカデミー中心の為かやや難解で、地元との結びつきに疑問を感じた。当日配布されたパリ中心市街地の規制図は詳細は分からないが、こんなものが必要となんとなく理解した。

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あの司馬遼太郎の「街道をゆく」の写真展に併せて、その撮影者の小林修氏と司馬さんの担当者であった村井重俊氏のトークショーがあり六本木の東京ミッドタウンへ。週刊朝日の小さなモノクロ写真を大判のカラーで見ると圧倒的な迫力で迫ってくる。司馬さんのファンであった私にとって、知ることのなかった氏の実像や裏話も披露され楽しい時間を過ごす事が出来た。

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 台東区生涯学習センターに向かう。「江戸から学ぶ」連続講座で、今回は「江戸の音を観る 谷中編」と題し、幸田露伴の「五重塔」のモデルとなった「谷中五重塔」の来歴を寛永寺の方からお聴きした後、元NHKアナウンサーの平野啓子さんご自身の脚本による「五重塔」の語りに耳を傾けた。

 

築地の朝日新聞社で最近「ナポレオン 」三部作を出版された歴史小説佐藤賢一さんと、京都生まれの「京都ぎらい」(新書大賞受賞)の井上章一さんの対談を聞く機会を得た。佐藤さんは正面から、井上さんは斜めからナポレオンを語られ、佐藤さんの著書を読みたくなる衝動に駆られた。因みに、佐藤さんの名は本屋で見かけたくらいであり、私は井上さんの話を聞きたくてでかけた。

 

内幸町はイイノホールでの指定都市市長会シンポジューム「文化芸術立国の実現に向けた指定都市の役割」に参加した。横浜市京都市、札幌市の市長による文化政策のPRの場であった。プロデューサーの残間里江子さんは、基調講演で当日の大半のシニアの出席者に向けて、「シニアは前線で活躍できないかもしれないが、積極的に出かけそこで感じて下さい。そして、それを語りかけてください」といったような事を述べられていた。

 

銀座のギャラリーgggでグラフィック作品に取り囲まれてパール・アレキサンダーさんのコントラバス生演奏に身を浸すことができた。

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と、延々と近況を述べてきたが、こんな調子で持て余す時間を過ごしている。書きながらワイドショーを脇見していて一句浮かんできた。

           さくらより  サクラ(偽客)が目当ての  桜の会            四季

才能ナシ!