宇宙大の思考

 南方熊楠の生誕150周年を記念して行われた「宇宙大の熊楠」と題したシンポジュウムに出かけた。南方熊楠賞を受賞された明治大学野生の科学研究所所長の「地上の自然」及び占星術研究家の「熊楠の星をめぐって」の基調講演の後パネルディスカッション。事前に危惧していた通り私の理解力を超える内容であった。聴講者の多くは私のような普通の高齢者と見受けられたが、時折あちこちで反応のざわめきが起こっていた。私の見立てでは在京の和歌山県出身者であろうと自らを慰めた。

中途半端ながら南方熊楠に関心を持つようになったのは、熊野古道歩きで最後の宿泊地田辺市南方熊楠邸を訪れたのがきっかけである。晩年の25年を過ごし隣の顕彰館と共に研究、情報発信の拠点となっている。管理されている熊楠さんと縁のある女性の方と暫く話し込んだ。話しているうちに名前は知っていたが、それ以上のことは殆ど知らない。もっと知りたいと思った。

周囲は土塀に囲まれた瀟洒な住宅地である。土塀は古い瓦を土で塗り込めたものであり、古い寺院で見かけるものであったが、どこか雰囲気が違う。奈良や谷中で出会ったものは何らかのデザイン性が感じられたが、ここのものはその気配が感じられない。何となく気になった。

今回、改めて考え"宇宙大の思考"でも潜んでいるのだろうかと変なこじつけをしてみた。

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