記憶のかけらー写り込み
写り込みとは”写真で、滑らかな器物の表面などに反射した他の像や光源が、画像として撮影されること。”とある。私は写り込んだ事物をムンクの言う見えるものでなく見たものとして撮影する事がある。
巡礼後、コロンブスも滞在したというSalamancaサラマンカでサン・エスティバン修道院を訪れた。スペイン独自のバロック様式であるチュリゲラ様式発祥の地として知られている。内部に入ると天井のリブ構造の見事さに見惚れてしまう。しかし、天井が高いためしばらく見つめていると首が痛くなる。ふと足元に目をやると大きな鏡が床の上に設置されている。そこには今まで我慢しながら見つめていた天井の姿が写り込んでいた。ありがたき配慮であった。
2014年6月25日 ありがたき配慮 スペイン/Salamanca after「北の道」
対岸のポートワインのワイナリーを訪れるべく、ドウロ川にかかるドン・ルイス一世橋を渡った。道路脇のレストランでは観光客がワインを嗜みながら食事中である。全面ガラス張りのため、今まで歩き回っていた対岸がそこに写り込んでいる。オレンジ色の屋根で覆われたポルトの街並みは、ポルトのむ一つの姿を写り出していた。
2013年5月17日 もう一つのポルト ポルトガル/「ポルトガルの道」
パリ西部のマルモッタン・モネ美術館で「印象、日の出」「ルーアン大聖堂」と出会い、その後背後のブローニュの森を散策した。そこにはコンテンポラリーアートを軸にしたアートスポット”フォンダシオン・ルイ・ヴィトン”が待ち構えていた。設計は一昨年訪れたスペインBilbaoビルバオの”グッゲンハイム美術館”のフランク・ゲーリーである。3600枚のガラスパネルで覆われた外観にはブローニュの森が写り込んでいる。周辺の景観を生かした姿は圧巻である。開館まで時間があったため残念ながら入館はパスした。
2018年6月14日 その姿もアート! フランス/ブローニュの森 after「ル・ピュイの道」
ギンザ・グラフィック・ギャラリーを訪れた。その後、周辺をぶらついていると見慣れない建物に出会った。コロナ禍のためもあり銀座をぶらつく事が少なくなっていた。銀座周辺の街並みの変貌に追いつけなくなっている。金属製の青色のファサードにはサイケデリックな景観が映り込んでいる。移動するにつれ様々なアートにと変化する。ルイ・ヴィトンの店舗であった。
2021年9月10日 サイケの再来 東京都/銀座七丁目並木通り 街歩き
写生するのではない。
自然がいっぱいに守られた大皿に自由に手を伸ばすのだ。
見えるものを描くのではない
見たものを描くのだ。
創作ノート 1928
I doo not print
from nature-
I heip myself from
its bountiful
platter
I do not print
what I see
-but what I saw
Note 1928
「愛の抜けがら LIKE A GHOST I LEAVE YOU」
エドヴァルド・ムンク著・原田マハ翻訳/幻冬社