記憶のかけらー他所者には?

他所の土地を歩いていると、公共空間でありながら歩行者に何を訴えかけているのだろうかと思うものに出くわす事がある。直接的にではなくちょっと考えさせることによりその効果が高まる場合がある。

 

セビージャの街の歩道を歩いていて、人の顔らしきものが打ち出された金属製の標識が点々と続くのを見掛けた。何かと思い近寄ってみると自転車に乗った人の絵柄であった。周りを見ても自転車は見当たらないし人もいない。自転車通行可のサイン?それとも自転車に注意?いまだに気になる。

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2012年10月2日 自転車通行可? スペイン/Sevilla after 「フランス人の道」

 

リスボンをスタートし3日目にGolegaゴレガンという人口6000人足らずの小さな町に入った。この地域は国際的に有名な牛と馬の市場で、ゴレガンは馬の首都とみなされている。11月には二つの見本市”全国馬フェア”と”国際ルシターノ馬フェア”で賑わうそうだ。でも、全く人影がない。歩いていると日本では見掛けない道路標識に出会った。日常も馬中心で交通手段の主役は馬らしい。

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2013年5月7日 馬が主役 ポルトガル/Golega 「ポルトガルの道」

馬に関係した土産物屋。そして、馬場では馬を調教する姿が見られる。 

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宿舎は消防署。2階の大部屋のマットの上でシュラーフに潜り込み眠りについた。

 

フランスのオクシタニー地域圏の町Condomを通りかかった。日本語ではコンドム又はコンドームと表記される。避妊具のコンドームはこの町に起源を持つとの説もある。世界遺産の大聖堂の前に四人の騎士が立っている。そうです、かのアレクサンドロ・デユマの三銃士である。ダルタニアンと言う人の出生地であるが、物語の隊長ダルタニアンとは別者らしい。一種のパクリか。足元に目をやると排水溝の脇に魚のパネルが張り付いていて何か言って”PROTEGEZ MA PLAMETE"「私の家族を守る」。河川の魚を守る為に排水溝に害になるものを流さないでとでも言っているのだろうか。三銃士はどこかに行ってしまった。

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2018年5月31日 何を守るって フランス/Condom 「ル・ピュイの道」

 

写真の企画展にと千代田区一番町の日本カメラ博物館を訪れた。その帰路東郷通を通りかかった。ロシアバルチック艦隊を破り名をあげた東郷平八郎の邸宅跡の東郷公園脇の通りである。でも、私は関心はその通りの両脇に描かれた絵柄に奪われた。平面で描かれた図がなんと立ち上がって見える。そうです。ドライバーのスピードダウンを促す道路標識であった。ものを置いたり文字で書いたりしないで、無意識のうちにドライバーの運転マナーについて語りかけている。何故他の場所でもこの手法が普及しないなだろうか。

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2019年9月29日 スピード落とせ 東京都/市ヶ谷東郷坂 街歩き