記憶のかけらー足元から/巡礼

先週は足元を歩きの機能性から取り上げた。ところが意外に様々な情報も提供してくれる。今回は、巡礼者にとって最も重要な情報である道案内について紹介しよう。

 

サンチャゴ巡礼のシンボルはホタテ貝である。サンティアゴ・デ・コンポステラのあるガリシア地方がホタテ貝の名産地であり、巡礼を終えた証拠に食したホタテ貝の貝殻を持ち帰ったのが始まりとされている。又、ホタテ貝は「再生」を意味し、巡礼により「魂が生き返る」と言う意味を持つ。巡礼路には様々な方法でホタテ貝のサインが掲示されているが、街中では一定の間隔を置いて金属製のものが埋め込まれている。

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2012年9月5日 脚でも見ながら スペイン/  Los Arcos 「フランス人の道」 

巡礼者にとってもう一つの大事なサインは黄色の矢印である。目につきやすい視線の先にペンキで手書きされている。手書きは優しく行先を教えてくれる。ポルトガルの道のスタート地点は2Cに建立のカテドラル”Se”である。堂内でクルデンシャル(巡礼手帖)にスタンプを押してもらい堂の外に出る。さて、どちらに進むかと周りを見渡す。左の柱の足元に黄色の矢印が目に入った。歩を進める方向を指し示してくれた。

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2013年5月3日 Ola ポルトガル/Lisboa 「ポルトガルの道」

 

フランスには主な巡礼路が四本ある。その一本はパリからボルドーを経由して「フランス人の道」に繋がる「パリの道」である。この道はあのシャルトルを通るのだが、普通の観光客にはほぼ100%知られていないのでなかろうか。大聖堂の正面入り口の前に立ち足元を見るとその証が目に入った。それにしてもこの取り扱いは・・・・

再会を心に別れを告げたが、コロナ禍もあり残念ながら果たせそうにない。

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2013年6月13日 歩いて訪れたかった フランス / Chartres after 「ル・ピュイの道」

 

熊野古道は「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成要素として2004年に世界遺産に登録された。その後、参詣道の整備は地元民によっての粛々と進められている。新しい案内標識も見受けられるが、複数県にまたがっているせいもあり、サンチャゴ巡礼路に見られるような統一感が見られない。又、心身共に歩き疲れたものにとっては手作り感が欲しいと思った。

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2016年5月20日 あった あった 三重県/那智勝浦 「熊野古道/中辺路」

「 私は、見聞を広めるためでなく、迷うために旅に出た。」

             「旅の絵本」 安野光雅/福音館書店