記憶のかけら–石の道

私の巡礼旅は歩きの旅である。従って四六時中道と付き合いながら進む。基本一人歩きのため道はいい話し相手でもある。石の道はさまざまな表情を見せてくれる。

 

2016年5月17日 加田〜熊野市  熊野古道伊勢路

熊野古道伊勢路」は海に迫る山地の峠越えの連続である。雨が多い土地柄から土砂の流出を防ぐため山道はほぼ石畳である。長い年月をかけて造り上げられたため、その時代時代で道幅や路面の表情が異なる。その変化を楽しみながら辛い山道をクリアしてゆく。

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2015年6月7日 Fuenterroble de Salvatierra  スペイン「銀の道」 

銀の道はローマ帝国軍がイベリア半島を北上する際に建設したローマ街道を縫いながら伸びる。街道はその後も北部の銀をはじめとした資源や物資を運んだ重要な流通インフラであった。学術都市サラマンカを間近にした小さなまちで、道路の断面の構造を見せる形で残していた。遺跡には方々で出会ったが、このような形での保存は興味深いものであった。あまりにも綺麗な断面なので、多分本物と思うが・・・・

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2013年5月15日 Agueda  ポルトガルポルトガルの道」  

ポルトガルの道は街に入るとピンコロ舗装となる。街中では表面は平滑で歩きにくさは感じない。しかし、まち外れになると表面の仕上げが雑となり足首に負担がかかる。道路脇の草地によけると、草に隠れた小石でやはり歩きにくい。そこで舗装と草地の間の細い砂地をモデルウオーキングで歩く。

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2018年5月23日 St-Cirq Lapopi  フランス「ル・ピュイの道」 

近代化によって消滅の危機にある小さな村を保護し、活性化させる目的で”フランスの最も美しい村”の認定制度がある。今では”最も”と言いながら162の村が認定を受けている。その一つS t-Cirq Lpopi は巡礼路から片道4キロの寄り道となるが、最も”最も”に近い村との思いから立ち寄ることとした。セレ川沿いの道を進むと川沿いの岩壁を抉った道に出会う。その壁面は作者はわからないがアート作品となっている。フランスである。

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熊野は海と山がとても近い。その狭間に人の営みが細く長く続いている。

 「真夜中のカーボーイ」 山田五郎/幻冬社