記憶のかけら-出発

2012年から2018年の7年間、国内外の巡礼路や街道を一人で歩き旅をしてきた。その後、体力・気力を考えまち歩きに切り替えた。その時の記憶が時の流れに連れて薄れてゆくことを考え、写真を取り続け今では一万枚弱に達してる。しかし、今回のコロナ禍でそのまち歩きもままならぬ状態になった。そこで、記憶のかけらに過ぎないその写真を頼りに、バーチャルの歩き旅・まち歩きを繰り返している。その一端を「記憶のかけら」と題してブログにアップすることとした。。生来の自分勝手な性格ゆえ、他人には興味ないもの、あるいは正確さを欠く表現等が散見されると思う。 

 

2012年2月13日 徳島県鳴門市

リハビリによる膝痛の回復度を調べようと四国八十八ケ所遍路旅を思い立った。出発地は四国第一番札所竺和山(じくわさん)一乗院霊山寺である。少なからずの緊張感を持って門前に立った。仁王さんの前に白装束の女性巡礼者が佇んでいる。近寄ってよく見るとマネキンである。ここで身の回りを整えて巡礼を始めてくださいとの呼びかけであった。緊張感が萎えてきたことを今でも覚えている。

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2014年5月22日 Irun スペイン

サンチャゴ巡礼「北の道」の出発地はカンタブリア海に面した国境の街Irunである。街中のなんでもない橋を渡るとそこはフランスであった。国境を超えたとの証がないものかと周りを見回した。白い壁に”FRANCE”の文字が目に入った。

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2013年5月3日 Lisba ポルトガル  

リスボンのセント・ジェイムス大聖堂からサンチャゴ巡礼「ポルトガルの道」を歩き始める。私はクリスチャンではないが、とりあえず旅の無事を祈って祭壇の前で深く頭を下げる。表に出て大聖堂の角の階段を降りようと足元を確認した。行先を示す黄色の矢印が私を導いてくれた。

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2018年5月9日 Le Puy-en-Velay フランス

突然の交通ストの最中、サンチャゴ巡礼「ル・ピュイの道」の出発地ル・ピュイ・アン・ヴレにたどり着いたついた。早朝、ノートルダム大聖堂のミサに参列した。フランス人を中心とした巡礼者の中で、私は日本から来た”オンリーワンの巡礼者”として紹介された。ささやかな誇らしさを覚えた。床の扉が開かれ階段が現れた。その階段を降って巡礼者たちは三々五々長い巡礼路に足を踏み入れた。

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自分勝手とは、相手の自分勝手も尊重することだ。

夫婦も家族もしょせん他人、最後まで付き合うのは自分自身だ。尽くさず、尽くされないくらいの間柄で、自分勝手に生きるほうが、心と体の健康に良い。

  「自分勝手で生きなさい」 下重暁子/マガジンハウス