出会った橋ー銀ル・ピュイの道-22

6月12日、連日続く小雨模様のパリの街を最寄りのメトロ1号線サン・ポール駅に向かう。アミアンへの出発駅は北駅である。ところがなんと1号線が不通である。放送はされているが事情が分かるわけではない。そこで急遽隣のバスティーユ駅まで歩き乗り換え予定の5号線に乗り込み北駅に無事到着する。北駅は国際線の駅の為広い構内で途方に暮れる。いつもの聞きまくり戦術で無事乗車予定の電車に乗り込む。

アミアンの駅前ではペレの塔が出迎えてくれる。「コンクリートの父」と言われている オーギュスト・ペレの設計で、1953年の建設当時では高さ104m、27階建ては西ヨーロッパ一を誇る超高層ビルであった。

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訪問目的は「ゴシックの王者」と呼ばれるノートルダム大聖堂である。駅から15分の歩きであるが、途上で姿を現した姿はそのその名を裏切らない威容である。

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西面するファサードの前に立つと壮大かつ荘重な姿に思わず息を呑む。

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聖堂の内外に展開する彫刻群は「石の百科全書」と呼ばれているが、ファサードを眺めているだけで納得がゆく。しかし、私を驚かせたのは壁面のあちこちから乗り出している多くのガーゴイルである。ガーゴイルとは怪物などの姿をした雨樋である。

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 そして中央扉口にはお約束のタンパンである。テーマは「最後の審判」である。このキリスト像を見ているといつも賭博場の風景が重なってくる。ばちが当たらなければ良いが。

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壁面にはさまざまな姿の彫像が並んでいるが、その中には自分の首を持った像も見られる。パリの聖ドニがルーツらしい。ドニは自分が処刑されたモンマルトルから現在のサン・ドニまで歩いて自分の首を運んだそうだ。おどろおどろしい話である。 

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かつてはファサードは極彩色で彩られていたそうだ。今ではキリストの目など一部に痕跡が残されている。私にとっては歴史を経た今の姿で十分満足であるが、どうしても当時の姿を見たいと思う方は、泊まりがけで訪問すれば夕刻にプロジェクトマッピングで披露されているそうだ。

聖堂内に入るとその身廊の高さには驚かされる。42.3mはフランス国内で最も高いのだそうだ。

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目を足元に移すと一面に描かれた「ラビリンス」に目を奪われる。

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堂内の上に上がればその眺めは一層の見ものであるそうだ。当日は火曜日であった。ツアーに参加すれば堂内を案内してもらえるが、フランスでは多くの場合except Tuesdayだそうだ。どんな眺めか知りたい方はとんぼの本「フランス ゴシックを仰ぐ旅」のp26を覗いて欲しい。その写真を見るたびに無念さが蘇ってくる。

 

続く