出会った橋ール・ピュイの道-11

17Cにフランス南部の物資運輸のインフラとして、ガロンヌ運河とミディ運河の開鑿により大西洋と地中海が結ばれた。その後、その役割は鉄道や自動車に取って代わられ、今ではレジャー活動のインフラとして活用されている。Moissacのにはヨーロッパ各地からやってきたと思われるボートが生活用品を積み込んで係留されている。

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途中には大陸横断に伴う水位差をクリヤーするための閘門が設置されている。乗船者はセルフでそれを開閉しながらボートを進めてゆく。

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運河にそって巡礼路が続く。バカンス前ということもあり巡礼者は疎らである。心地良い木陰の小道を黙々と歩む。

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休憩がてら運河を横断する橋の上に佇み、歩んできた道を振り返る。水面には両岸の緑の回廊が写り込み、その隙間は帯状になった空である。じっと見つめているとその隙間に吸い込まれそうになる。

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宿泊地のAuvillarも”最も美しい村”である。集落の広場では仲睦まじくベンチで一休みの母娘が出迎えてくれた。

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宿の部屋から外を見ると目の前で原発が白い蒸気を上空に上らせている。これがこの地の日常であろう。赤い薔薇の花との取り合わせに思わず考え込んでしまう。

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そして、夜中に起き出して手洗いに向かうと・・・

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5月29日、農地の彼方に宿泊地Lectoureが現われた。これまた”最も美しい村”である。高く聳える塔からの眺めを楽しみにもうひと頑張りする。

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到着後、早速遠くから眺めた教会の塔に登る。特段、感動を覚える眺めではない。しかし、期待に違わぬ景観が展開している。

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 続く

 

「最悪の事態」に備えてさまざまなプランを用意するということを日本人は嫌いますけれど、それはかなりの程度まで日本人の民族的奇習だと思います。

(中略)

起る確率の低い破局的事態については「考えないことにする」。それが本邦の伝統です。

  「人口減少社会の未来学」 内田樹編/文藝春秋