久しぶりの街歩き

嘗て会社で仕事を共にした先輩から展示会に作品を出展するとの案内メールを受け取った。これは不要不急の要件にあらざると出かけることとした。場所は六本木の国立新美術館であるが、かねてギンザ・グラフィック・ギャラリーの企画展「TDC2021」(文字の視覚表現を軸にしたグラフィックデザインの国際賞の成果を展示)にも出かけたいと思っていたので、まずは銀座へと向かった。暫く見ないうちに銀座も様変わり。

先日、NHKの番組「クラシックTV」でフラメンコを紹介していた。ピアノのドランテス、カスタネットのルセロ、ギターのカニサレスの超絶技巧を視聴していて、せめてCDでも手に入れてあのスペインの空気に浸りたいとの衝動を覚えた。

銀座4丁目の山野楽器は1階がなんとUQの店になっていた。本体の売り場は縮小されその影響でCD売り場は縮小され、お目当てのCDは見当たらなかった。

TOKYO TDC 2021のグランプリは”美術でよむ日本国”と謳う図書「日本国憲法 Constituon of JAPAN]」(松本玄人/TAC出版)のデザインであった。憲法の条文にその内容をイメージさせると思われる戦後の芸術作品を掲載している。昨今、国会等で憲法論ぎが盛んであるが、残念ながら私の脇を通り過ぎてしまう。でも、・・・

退館時受付で現物の本を販売しているのを目にし即買い求めた。帰宅後、ざっと目を通していてあるページに目に止まった。

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また逢う日まで」の一場面である。映画は見ていると思うがこの場面だけくっきりと記憶の中に刻み込まれている。対となる条文には、第14条第2項の「華族その他の貴族の制度は、これを認めない。」とある。今ではストーリーを思い出せない事もあり条文と結びつかない。謎解きとアートを愉しみながら憲法を学べる良いものに出会った。

地下鉄で六本木に向かう。東京ミッドタウンのフジフィルムスクエアの写真展に立ち寄る。作品を見るときには今後の参考にと”この写真何を撮ったのか””なぜこのフレームで切り取ったのか”を問いかけ、撮影テクニックにはあまり関心を持たない。

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国立新美術館では先輩には会えなかったが、嘗ての日々を思い起こしながら暫くの間作品の前に佇んでいた。以前このブログに書いたが、この美術館は鉄骨とガラスで構成されており、館内にいても外の太陽光を感じられる。壁や床に描かれた陰影、そしてガラス面への写り込みを愉しむ事ができる。

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私にとって良き出会いの街歩き出会った。

 

 憲法は、信じるものが違う人々が共存する知恵だ。それを参照点とすることを拒否するのは、異なる人々の共存という近代国家の理念を放棄することに繋がってしまう。

   「憲法学者の思考法」 木村草太/青土社