出会った橋ール・ピュイの道-4
5月16日、Verrieresと言うごく小さな集落を通りかかった。その後を含めて多くの「フランスのもっとも美しい村」に出会った。一瞬、御伽の国に迷い込んだかと思った。美しいかどうかは別にして、それらの村に劣らない村として記憶に刻み込まれている。
ロト川沿いにさらに進むとゴシック様式の橋が現れた。その姿はシンプルであるが、何となく風格が感じられ世界遺産にも登録されている。"美しい村"のEstaingである。
13世紀発祥の名門エスタン家のシャトーは、今ではその系統を繋ぐ元大統領のディスカール・デスタンが所有している。時代を経る中で様々な様式が積み重ねられ、見る者を飽きさせない姿を呈している。
いつもの様に高い所から甍の波を愉しみたいと塔の上に登る。足元を見下ろすと屋根の形や家並みにはバラバラ感は免れないが、屋根の材質や色彩の一体感により私の期待に十分に応える景観を提供してくれた。
朝の小雨の名残で瑞々しさを増している緑の中を進む。宿はGolinhacである。
先に到着したフランス人のグループが笑顔とビールで出迎えてくれた。その後、このグループとは前後しながら歩く。理解度は気にしないで気軽に会話を交わした。ところで左から二人目の男性は私が馴染みにしている理髪店のマスターにそっくりであった。
帰国後、散髪に行った時マスターにこの写真を見せ「フランス人女性と何かあったのでは」とカマをかけたが、私の拙い”フランス流のエスプリ?”は一顧だにされなかった。
今朝、NHK BSプレミアムで久しぶりにロングトレイル番組「一本の道」に出会った。時節柄、すでに視聴したものであったが、見ているうちにアル中症状が再発して来た。”行きたい”と言うより「帰りたい」と言う感じであった。
続く
コレクションをやっていて気づいたんですが、フランスは原発王国でしょう、全電力生産の七割以上を原子力発電でまかなっている。原発のある場所が全部、ワインの生産地なんです。
ワインは痩せ地がいい。痩せて火山性で水持ちが悪い、肥料をやってもすぐ染みてしまって、荒れたままで豊かにならない。そういう荒れ地がワインに適している。川沿いの斜面なんかも、それは川の霧が立ち上がって保温するわけです。
(中略)、仮に福島のような事故があっても、その地方のワインが飲めまくなるだけ。街から離れているし、ワインを作っているだけなので住民も少ない。何かあっても、日本のようにはなりません。
「すごいトシヨリBook トシをとると楽しみがふえる」池内紀/毎日新聞出版