出会った橋ー銀の道–2

Meridaはローマ時代以降イベリア半島の東西、南北を繋ぐ要衝の地で、「小ローマ」と呼ばれ数多くのローマ時代の遺構が残されている。圧巻は紀元前に築かれたローマ劇場で、舞台後方には大理石列柱が建ち並ぶ。毎年夏には古典演劇祭が開催され現代にも生きている。

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 その隣には剣闘士の闘い等各種のイベントが模様された円形劇場が広がる。映画「スパルタカス」の戦車競技を思い起こさせるローマ競技場も残されている。アテネアクロポリスには及ばないものの荘厳な佇まいのティアナ神殿も。・・・・

そして、遺跡跡の上に建設された国立ローマ博物館にはイタリカで感動を覚えた多くのモザイク画が壁面に移設されていた。床として見るのと違い向かい合って前面に立つと、全体像を一望できじっくりと鑑賞できる。多分、何らかの物語りが表現されているのであろうが、残念ながら私の知識の範囲ではそこまでの理解には及ぶ事ができなかった。

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更には、地から立ち上がる壁面の一部と思われる遺構がここが遺跡跡である事を語りかける。

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市街地を外れたところには、風化しているもののお約束のローマ水道橋の橋脚が屹立している。長きに渡ると風雨?に耐えてきた時間をひしひしと感じる。

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子育ての地として毎年渡ってくるコウノトリ達の格好の場として今も生きている。

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これまで見てきた白っぽい大きな石で築かれたものと異なり、レンガを思わせる赤っぽい水道橋は晴れ上がった青空の下で晴れやかな姿を見せてくれた。

翌日、早朝に朝焼けに浮かび上がる水道橋を眺めながらMeridaに別れを告げた。

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ローマ時代の遺跡と言えばまずローマが思い浮かぶが、周りに観光客が動き回っているもののここには"私だけのローマ帝国"を夢想する時間を与えてくれたMeridaであった。

 

長引く閉じこもり生活に風穴を開けようと上野のお山に出掛けた。芸大で開催されている藝大文化財保存修復センター企画の「日比野克彦を保存する」と題する展示のギャラリートークに参加した。日比野氏は現代アーティストで現在は藝大の美術学部長である。氏についてはテレビ等で見かけることはあるが、氏の作品に特段の関心を持っているわけではない。ところが、外出動機から参加者募集に応募したにも関わらず、申し訳なくも参加者25名に選ばれてしまった。氏のアトリエのある渋谷のマンションの建替に伴い 、失われる空間内の作品、画材、生活用品、壁の落書き、更にはマンション更には渋谷の街、ひいては氏そのものの保存の対象と捉えた展示企画であった。氏の作品はほんの一部という余り例を見ないものであった。トークは興味深いものであり日比野氏はへの認識を新たにしたと報告させていただく。

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東京新聞に載った銀杏並木の写真に惹かれ、地下鉄二駅先ので光が丘公園に出掛けた。散り始めた黄色のイチョウの葉に晩秋を実感できた。しかし、へそ曲がりの私には晴れ上がった青空の下で地上に映し出された樹木の影が強く印象に残った。

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区の主催する65歳以上の高齢者を対象とした講演会に出掛けた。講演者は前日に83歳になったと言うご存知の養老孟司さん。年齢のせいか、新型コロナ疲れのせいか、それとも人気者ゆえの相次ぐ講演会の為か内容はもう一つであった。運動不足で睡眠不足の私にとって時々心地よい子守唄?になりかけた。