6月19日 何処で 何を

2014年6月19日

海沿いに進んで来た「北の道」もゴールも近くなり内陸部へと進む。Vilalbaの宿を早朝の6時に出立する。GALICIA地方は石の文化で木製と見える道路脇の柵も薄く割いた石である。

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途中、ゴールまで100kmの地点を通過した。巡礼路では100km歩けばそのルートを巡礼したと認証される為、その近辺の標識はある意味重要なポイントである。ところが、このコースはマイナーな為か具体的な数字は失念したがSantiago de Conpostelaまで1,000,○○○mとシンプルな標識である。一桁まで表記されているのを見て、このアバウトなスペインとのアンバランスに思わず笑ってしまった。

札幌とほぼ同じ北緯43度でありながら、暑い日差しの為道路のアスファルトにストックが減り込む。大きくNONと書かれた幟が 目に入る。巡礼路のルート変更に反対の幟らしい。穏やかな巡礼路に穏やかならざる出来事に心のざわつきを覚える。

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宿で一人の若い女性に出会った。ブラジルから一人でやってきて、途中からスペイン人のグループに加わって行を共にしている。今日は食事当番の為先行して宿に入り、買い出し調理を済ましたところだそうだ。話が進むうち何と日系三世でHAYASHIさんと言う。そう言えば何となく風貌に日本を感じ、思わず話し掛けたのだろうか。

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2015年6月19日

北へ北へと歩いて来た「銀の道」は数日前から西へと方向転換し、ポルトガルとの国境沿いの山道を進む。

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暑さと登りを考慮し5時45分にLubianの宿を出て7時30分に峠に立つ。函館とほぼ同じ北緯42度であるが暑さは生半可ではない。38度を超えている。日差しが強い為か影がくっきりと際立つ。それらしい記念写真を撮る。

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山道を歩いていても日本の様に野生の動物に出会う事は稀であるが、牧畜が盛んな為色々な家畜と出会う。牛の後ろ姿に何となく色気を感じる。

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昨年の夏のブログを思い出す。8月30日に同じ写真をアップしている。区の美術館で開催された「坂本繁次郎展」で出会った牛に、ふとスペインで出会った牛が重なった。その事を書いていた。

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2016年6月19日

東京藝術大学の美術館で開催の「バーミアン大仏天井壁画展」に出かけた。2001年にイスラム国によって破壊された天井壁画を藝大が原寸大で完全復元をした。現地に持ち込むに当たって一般に公開されたもので貴重な機会に恵まれた。皆、首の痛さを忘れて静かに天井を見入っていた。

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動画で映し出されていた現地の様子からはあの様な悲惨な出来事は微塵も感じられなかった。

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その日の早朝、ウオーキングに出かけた時に見た空はいつもと違っていた。

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そそくさとした、あっさりとした関係、何らコミットしない付き合い。これは旅人にとって最高の願望の一つだが、このことを意識する人はほとんどいない。

                「旅の効用」  ペール・アンディション著・畔上司訳/草思社