四次元との出会い

 以前、年月を経たJR高架下を活用した商業施設を訪れたが、今回は大正三年建設のJR駅舎内の美術館に出かけた。美術館は1988年に開館し、駅舎の復元工事に伴い2012年にリニューアルオープンした「東京ステーションギャラリー」である。何時かはと思いながら、「シャガール  三次元の世界」という興味深い企画に惹かれてやっと想いを果たした。

展示室は、鉄骨煉瓦造の構造体である鉄骨や煉瓦を剥き出しにし敢えて仕上げを施していない。創建時の仕上げを落とした煉瓦壁面には、漆喰がのりやすいように穿たれた痕跡が点在し、巧まざる演出効果を発揮している。展示された作品には程よい背景となると共に、時の流れを視覚化して来場者の鑑賞時のイメージを膨らませる四次元の空間を提供している。しかし、展示室を繋ぐ階段室に一歩出ると、現代風の仕上げが施された空間が現実に引き戻す。

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展示室では撮影禁止につき

展示作品は、今まで殆ど紹介されてこなかった彫刻作品が、同じテーマやモチーフの絵画と併せて展示されている。様々な素材の彫刻作品は、キュビズムの流れからか三次元の作品でありながら二次元の作品にも見える不思議な世界観を醸し出している。

一方、シャガールの絵画はステンドグラスを思わせるシャガールブルーに代表される色彩の魅力が語られるが、展示室内の解説には二次元・三次元を越え四次元を表現しているとあった。確かに妻ベラとの思い出?を描いたものにはそれが感じられる。

フランスはランスの大聖堂にはシャガールのステンドグラスがあるとの事。全身でシャガールの世界に包まれてみたい誘惑に駆られた。