思うこと
イチローが遂にメジャー安打数記録を達成した。試合後の会見で「ここにゴールを設定したことがないので、実はそんなに大きなことという感じは全くしていないんですけど、それでもチームメートだったり、記録の時はいつもそうですけどファンの方だったりと、ああいう反応をしてもらえるとすごくうれしかったですし。そこですね。それがなかったら、何にも大したことないです」と胸中を明かした。これを聞いていて彼の一言一句が正直胃の腑に落ちた。
私事になるが数年ロングトレイルを続けており、出発にあたって目安としてのゴール地点を定めているが、これは歩きの目的としてのゴールではなくあくまでも目印としてのゴールである。スペインのサンチャゴ巡礼も大聖堂にお参りする事も、市内観光をする事も目的ではない。従って以前も述べたように大聖堂の前に立った時は達成感や感動はなかったし,ある種の虚しささえも感じた。私も友人のメールやブログのコメントによる反響は大きな励ましとなった。
イチローと自分を同列に述べるのは恐縮至極であるが、これが素直に私の思う事である。
舛添氏が遂に都知事辞任を表明した。5月13日に熊野古道の路上で出会ったおばさんが"税金を我が財布と考える都知事"に怒っていたと書いたが、まさか一ヶ月でこんな結末になるとは思いもしなかった。出発前は週刊誌ネタぐらいだったと思う。
ロングトレイルで歩き始めると基本的に新聞は読まないしテレビも見ない。従って世の中の動きは出発時に凍結される。国内では出会った人との会話で少しは氷解してくる。しかし海外に出かけると天気予報を見る為時々新聞やテレビを見る事もあるが、国内で考える程、いや全くと言っていいほど日本の事は取り上げられない。この心地よさを味合うと昨今の世情の鬱陶しさは我慢の域を超えている。ひょっとすると私はこの鬱陶しさから逃れる為に歩き出すのかもしれない。
そうは言いながらも持て余す時間をテレビの前で過ごしている私がいる。