謹賀新年

明けましておめでとうございます 今年もつつがなく新しい年を迎えることができました。 81回目の初日の出は、街中の高台からのありきたりの ものでしたが、我が人生の大事なマイルストーンです。 勝手ながら、撮りたての初日の出のお福分けをさせて いただき…

記憶のかけら–宿での一時

暑さ対策、ベッド確保、まち歩きを考え、早朝日の出前後に宿を出る。従って次の宿には昼前後に到着する。宿での過ごし方は様々である。 修道院附属のアルベルゲでは、夕食前の一時エントランスの広間に集まり歌の会が始まる。まずは海外からやってきた修道女…

記憶のかけら–ホスピタレーロ

スペインやポルトガルのAlbergue、フランスのGite等の巡礼宿では従業員、少人数で運営されている。そこではそういった方々と直接接しながら半日を過ごす。従って彼ら、特に中心になっている方と過ごした時間の記憶はいつでも蘇ってくる。 アストルガから標高…

記憶のかけら–宿

国内外で様々な宿のお世話になった。宿も旅の大きな要素である。宿を選ぶ時、その土地の歴史や生活を窺わせる宿を選ぶ。しかし、年金頼りの長旅ゆえの制約からやむをえず安宿に頼りがちになる。当たり外れはあったが、多くの宿は何らかの記憶として思い出せ…

記憶のかけら–路地

旅先の宿泊地では地図を片手に気の向くままに歩き回る。これが私の一人旅の大きな楽しみである。 コルドバでユダヤ人の姿も観光客も見当たらないユダヤ人街に迷い込んだ。 「1236年キリスト教徒はコルドバを奪回したが、イスラム文化を拭い去ることはできな…

記憶のかけら–ユージンホール

昨日、六本木のTOTOギャラリー"間"「妹島和世+西沢立衛/SANAA展」、”フジフィルムスクエア”「ユージン・スミス写真展」、更には銀座の”ギャラリー・グラフィック・ギャラリー”日本のアートディレクション 2020-2021」と私にとっての至福の1日を過ごした。 …

記憶のかけら–歴史的標識

巡礼路には巡礼者のための道標以外にも様々な標識に出会う。その中でも過去を刻むと思われる標識は、歴史に興味を覚える者を、長時間の歩行による疲れや単調な時間の流れを忘れさせる歩き旅へと誘ってくれる。。 高野山から始まる熊野古道「小辺路」を歩くに…

記憶のかけら–私の先達

一人旅ではその行動を自分の判断に依存することになる。巡礼路には多くの人の手によるある約束事に従って聖地までの導きとなる標識が整備されている。その標識こそ私の先達さんです。決して一人旅ではないのです。 2016年11月13日 八鬼山道 熊野古道「伊勢路…

記憶のかけら–道の風景

歩きの旅では周囲の風景をありのままに楽しむことができる。周囲の風景は地理的条件で変化する。しかし、時には歩きのスピードでは風景との間にズレが生ずる。その時には一時その風景から離れ自分の世界の中で歩き続ける。その時、地理とのズレが生じ道に迷…

記憶のかけら–石の道

私の巡礼旅は歩きの旅である。従って四六時中道と付き合いながら進む。基本一人歩きのため道はいい話し相手でもある。石の道はさまざまな表情を見せてくれる。 2016年5月17日 加田〜熊野市 熊野古道「伊勢路」 熊野古道「伊勢路」は海に迫る山地の峠越えの連…

記憶のかけら-出発

2012年から2018年の7年間、国内外の巡礼路や街道を一人で歩き旅をしてきた。その後、体力・気力を考えまち歩きに切り替えた。その時の記憶が時の流れに連れて薄れてゆくことを考え、写真を取り続け今では一万枚弱に達してる。しかし、今回のコロナ禍でそのま…

上野で出会った橋

東京都美術館で「Walls & Bridges 壁は橋となる」と題した展示会が開催されていることを知った。自らを取り巻く障壁を、表現への飽くなき情熱により、展望を可能とする橋へと変えた国内外の五人のつくり手たちの作品を紹介するとある。壁とは、そして橋とは…

不要不急の百貨店

9月24日、毎年出かける日本橋三越本店の「日本伝統工芸展」に今年も足が向く。まずは日本橋の先の墨田区横川の「たばこと塩の博物館」まで足を伸ばす。最寄りの地下鉄本所吾妻橋駅を地上に出ると目の前に東京スカイツリーが聳え立っている。 私の旅の決め事…

不要不急の神話の世界

テレビの街歩き番組で紹介された神楽坂の”象の滑り台のある児童公園”を訪れ、この場で取り上げたことがあった。今回、テレビで見かけた”神話の世界へと誘う広場”を何はさておきと出かけることとした。 9月15日、都営新宿線市ヶ谷駅で地下鉄を途中下車した。…

不要不急の銀ぶら

家に閉じこもる生活に入りいかに時間を過ごすかを考えた。結果、読書三昧にふけることとした。変化をつけるべく時々テレビをつける。コロナ関連の番組に加えてオリンピック、パラリンピック、自民党総裁選そして衆院選と見たい番組が次々と侵食されてくる。…

有要有急の街歩き

一月前、食事中ガリっと言う音と共に口の中に違和感が走った。口の中から歯のかけらがこぼれ落ちた。歯の痛みだけはなんとも我慢し難い。海外の長旅の前には必ず歯科医院に出かけ入念にチェックして出かけた。今回はコロナ禍でしばらく歯のクリーニングもご…

出会った橋ール・ピュイの道-28

右前方にエッフェル塔を見ながら進む。シャイヨー宮を通過し、パレ・ド・トーキョウ脇の歩道橋を渡って左岸の7区へと向かう。前方の木立越しにケ・ブランリー・ジャック・シラク美術館が見え隠れする。アラブ世界研究所そして売却が検討されている汐留の電通…

出会った橋ール・ピュイの道-27

さらに歩を進めエクトル・ギマール一派が設計したアールヌーヴォーの建築が集中しているバッシー地区に入る。アール・ヌーヴォーは19世紀末から20世紀初頭にかけての短期間ヨーロッパで開花した美術運動である。花や植物をモチーフとして曲線を多用している…

出会った橋ール・ピュイの道-26

6月14日、41日間のフランス滞在最後の日を迎えた。パリには何度か訪れたが短期の滞在であった為ほぼガイドブック観光に終わっていた。今回は数日間自分自身のパリを味う時間をとっていた。日本への便は21時であり一日たっぷり満喫できる。向かう先は私にとっ…

出会った橋ール・ピュイの道-25

シャルトル大聖堂の裏にはウール川が流れており、その河畔に古い街並みが残っている。聖堂の内外で密度の高い時間を過ごした後、観光客の消えた川沿いの小道をのんびりとぶらつく。 展示の準備をしているギャラリーに出会う。作品のアーティストはTETSUO HAR…

出会った橋ール・ピュイの道-24

6月23日、モンパルナス駅からChartresに向かう。駅から坂道を登りシャトレ広場に出ると姿の異なる双塔が迎えてくれる。現在の建物は1194年の大火の後に再建された。右の新鐘楼はその時のもの。左の旧鐘楼の下部は消失を免れさらに古いが、その上部は16世紀に…

出会った橋ール・ピュイの道-23

アミアン大聖堂にはまだまだ見所があった。身廊を奥に進むと最も聖なる空間内陣である。その周りの周歩廊に進むと内陣側面のレリーフに思わず息を呑む。この大聖堂の守護聖人フィルマンのアミアンにおける布教活動そして邪教を広めたかどで殉教に至るまでが…

出会った橋ー銀ル・ピュイの道-22

6月12日、連日続く小雨模様のパリの街を最寄りのメトロ1号線サン・ポール駅に向かう。アミアンへの出発駅は北駅である。ところがなんと1号線が不通である。放送はされているが事情が分かるわけではない。そこで急遽隣のバスティーユ駅まで歩き乗り換え予定の…

出会った橋ール・ピュイの道-21

6月11日、聖女マグダラのマリアに捧げる教会サント・マリー・マドレーヌ教会のヴェズレーに向かう。1000年の記憶を秘める聖堂内の彫刻はロマネスク美術の白眉と言われている。当初、巡礼出発地に向かう途中に立ち寄る予定であったが、ストにより日本発が1日…

出会った橋ール・ピュイの道-20

パッサージュ巡りも後半に入ると、パレ・ロワイヤルに出会う。ルイ14世がルーブル宮殿から移り住んだことで王宮(パレ・ロワイヤル)と呼ばれた。フランス革命後、用途は転々と変わり現在は文化省や国務院が入っている。建物で囲まれた庭園は王宮当時から一…

二つのギャラリー

7月6日、1ヶ月ぶりに六本木に出かけた。「FUJIFILM SQUARE」で開催中の企画写真展が目的である。日本では現在23件の世界遺産が登録されている。そのうちの文化遺産19件を、日本の美と文化をテーマに取り続けてきた写真家の作品で紹介する展示である。コロナ…

出会った橋ール・ピュイの道-19

6月10日、午後のTGVでパリへ引き返す。東駅からメトロのLe Peietiere駅に向かい、そこから徒歩でルーヴル美術館を目指して南下しながら、途上のパサージュ巡りである。パサージュとはウイキペディアによると、「複数の通りを接続することを目的に既存の建築…

出会った橋ール・ピュイの道-18

フランスは3ヶ月に亘り交通スト。私の旅はどっぷりと嵌まり込んでしまった。日本出発前日に航空便1日遅れの電話がある。巡礼前後の鉄道利用のご褒美旅のスケジュールの組み替えを急遽行い家を出る。 鉄道利用の旅は、取り敢えず5/6-ヴェズレー中止、5/7-オー…

出会った橋ール・ピュイの道-17

6月8日、標高100m前後を登り降りする道を順調に進む。この辺りは農業に適しない土地なのか、放牧地が大きく展開している。その中に小さな集落があちこちに散在している。個人的ではあるが、この風景にはいかにもバスク地方に入ったと実感させられる。 フラン…

出会った橋-ル・ピュイの道-16

6月6日の目的地は16世紀に要塞化された街Navarrenxである。周囲を取り囲む空堀と城壁で堅く守られている。この街も「最も美しい村」と言われて、確かにそれに値する街と感じるが、次々にこの称号に出会うと、その効能は薄れてゆくように感じる。 城壁の中に…