出会った橋ーフランス人の道−5

 10月1日午後、AVEで"カルメン"でお馴染みのSevillaに向かう。先ずはコロンブスの墓のあるスペイン最大のカテドラルヘ。ローマのサン・ピエトロ寺院、ロンドンのセント・ポール寺院に次ぐ規模である。何はともあれ、ぶっとい柱に唖然とさせられる。

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翌日、1929年の博覧会の舞台となったスペイン広場を訪れる。広場内には水路が巡らされ、観光客が遊覧ボートで行き交う。広場全般にイスラム色豊かなタイルが溢れかえっているが、水路に架かる緩い弧を描く橋は強い日差しに負けず胸を張っていた。

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体内に残る昼間の暑気を発散すべく、グアダルキビル川の対岸のレストランで小魚のフリッターをあてにビールを流し込む。宿への帰途、心地良い川風を受けながらサン・テルモ橋上に佇む。ライトアップに浮かび上がる上流のイザベル2世橋を見つめていると、残り2日となった海外での長旅を振り返り少しばかりしんみりとする。先祖のイザベル1世は現在のスペインの基盤を築き、コロンブスの新大陸発見の道を開いたことで知られているが、2世はとネットで調べると"偉大な名を持つ愚王"とあった。でも何故か大都市の立派な橋に名を残している。

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グラナダでは国内で日本人経営のゲストハウスを予約した。お目当のアルハンブラ宮殿も出発前に事前予約した。長旅を有終の美で終わらせたいとの思いからであった。

アンダルシアでは水は欠かせない貴重な資源である。水を環境に上手く取り込んでおり、更には芸術にまで高めている。宮殿奥にあるナスル朝の夏の別荘では、イスラムの王侯貴族が涼やかな噴水の水しぶきを眺めながら水路を跨ぐ橋?を渡り歩きながら逍遥していたであろう姿を思い浮かべる。

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乾いた土地の為、はるか彼方のシエラ・ネバダ山脈に繋がる水路で雪解け水を運んでいる。

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そして、39日間の海外一人旅を無事終えた。

 

先週、BSプレミアムであの大杉漣さんが、セビージャでフラメンコをレッスンする番組に出会った。その成果として彼はマエストロを前にして大杉流フラメンコを披露した。それは、彼の若き日の転形劇場での舞台を彷彿とさせるものであった。とは言うものの私は彼の役者としての演技は見ていない。

私は二度アンダルシアを訪れた。彼の演技を見ていて強くアンダルシアを感じ、不覚にも涙がこぼしていた。歳のせいだろうか。

マドリードバルセロナもいいけれど、本物のスペインを感じたければアンダルシアの土と空気に触れて来るべきだと私は思う。