出会った橋ーフランス人の道–4

Santiago de Compostelaで800km30日間の"フランス人の道"巡礼を終え,バスでスペイン最西端のFinisterreへ。その後、バスでマドリードに出てスペインの新幹線AVEでクエンカに向かう。頑張ったご褒美として鉄道/バスを利用しての楽々旅である。流通経大でのサンチャゴ巡礼のセミナーで出会った人と話していた時クエンカにも行くと聞き、話を聞くうちに何とは無しに行ってみたいと思た。

"地球の歩き方"によると

「大地を河川が侵食してできた巨大な絶壁の上にクエンカの町はある。見上げればまさしく絶壁の上の要塞都市。中世においてはいかなる敵の侵入をも許さない防御力を誇っていた。見渡せば背後の山々にも奇岩が連なり、その不思議な景観から「魔法にかけられた町」と呼ばれる。」

とあったが、決して誇張では無いと実感した。高台に上がると先方には新市街が広がっている。そして手前の谷間に鉄製の橋が架かっているのが見えた。

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 下に降りその橋に向かった。その橋は 向かいにあるパラドールへのプロムナードであった。橋脚があるが鉄製の吊り橋の趣きである。周りの 風景にスッカリと溶け込んだ 思わずその場に立って見たい誘惑にかられる橋であった。

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因みに 、パラドールとは "古城、貴族や領主の館、あるいは由緒ある修道院をホテルとして改装したもの'"で、私には宿としては全く関心はなかった。しかし、建築としては興味を覚えバックパッカーの姿のまま着飾った観光客を縫いながら館内を歩き回った。

ここでの見所は14世紀の王家の別荘をスペイン抽象美術館に改装した山形の立石寺を思わせる懸崖造りの建物である。残念ながら休館日であった。ふと、一泊をと思ったが先の予定で断念した。 

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 再度マドリードに 戻り、スペインの新幹線AVEでかつてイスラム文化が花開いたCordobaに向かった。宿を予約していなかったので街中で聞いた宿に向かった。曲がりくねった細い街路のあちこちに女性が屯している。一瞬考えたが到着が遅かったこともあり教えられた宿のドアを潜った。 普通の清潔な宿だった。

翌日、早朝に起き出し散歩に出かけた。メスキータの裏に回り込むとグアダルキビル川に架かる橋に出会った。薄暗い中にスペイン版ぼんぼりに浮かぶ橋は幻想的であった。橋の対岸にはカラオーラの塔。橋を守るための要塞である。そうです、この橋はローマ人のかけた橋です。嘗ては、対岸にはローマの都市があったのだろう。

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対岸渡り見返すと圧倒的な存在感を持ってメスキータが横たわっている。

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橋脚に何か動くものがある。鳩らしい。巣でもあるのかとよく見るが入り込める様な穴は見当たらない。小さな穴に住み込んでいる虫でも啄ばんでいるのだろうか。

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日の出前の爽やかな空気の中でイスラム文化華やかなりし頃の街の様子を思い浮かべた。

 

翌日訪れたメスキータ内部の圧巻は大きく期待を超えるものであった。しかし、レコンキスタを経て

モスクの中に建造されたカテドラルには、スペインの歴史を強く感じさせられた。

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続く

 

「総じて、人が不安になる時は、何かを信じられなくなった時だ。家族や仲間、社会、そして自分自身・・・・・・それらを信じられなくなった途端、私たちの眼は曇り、世界はくすむ。

         「信じる力」 木ノ下裕一/日本文芸家協会「ベストエッセイ 2020」/光村図書