6月12日 何処で 何を

2013年6月12日

 9日、「ポルトガルの道」のスタート地リスボンに帰りつき、いよいよ明日は日本に向かう。今日はテージョ川を渡りバスで40分のAzeitaoに向かう。目的はお土産購入を兼ねた装飾タイルのアズレージョ工房と1834年創業のワインメーカー訪問。アズレージョ工房では思いもかけず絵付けを経験できた。

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蜘蛛の巣の張った薄暗いボデガ には時の移ろいを感じさせる巨大なワインの醸造樽が並ぶ。

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今日はリスボン守護聖人である聖アントニオを讃える聖アントニオ祭の前夜祭。バスでリスボンに帰着後パレードを見学すべくメインストリートに向かう。ポルトガルの民族衣裳が続く中、何と法被姿のヨサコイの一団が現れる。暫く日本を離れていたせいか喜びと共に些かのサウダーデを感じる。

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主会場のアルファマ地区ではワインで出来上がった多くの人々がダンス、ダンス、ダンス。

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別名「イワシ祭り」と言われ、あちこちで鰯を焼く煙が立ち上がっている。単なる塩焼きであるがパンに挟んだサンドイッチは絶妙の味である。

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一度は諦めていた憧れのポルトガル訪問を実現し、その上予期していなかった最後の夜を過ごせ、この上無い記憶を刻めた。

 

 モラエスリスボンで毎年行われている六月十三日のサン・アントニオ祭の夜を思い出した。下町の石畳の街路には特設のイワシ焼きの店が並び、宵ともなれば、鰯を焼く煙が町中に立ちこめる。人々は石畳の上に並べられたテーブルを取りかこみ、焼いた鰯をほおばり、ワインを飲む。(中略)

モラエスは孤愁の想いを故郷に投げた。なぜこうも故郷が恋しいのだろうか、鰯を焼いた煙がなつかしいのだろうか。モラエスは日本人の主婦たちの視線を感じながら暮れて行く神戸の街角に立ち尽くしていた  。         「孤愁 サウダーデ」       新田次郎藤原正彦/文藝春秋

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2014年6月12日

Morosの宿を出て「北の道」を西へと進む。自動車道は整備されており、至る所を高架道路が谷筋を横切る。日本に比べスレンダーな構造で自然の景観に馴染んでいる。

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街で見かけた金物屋さんは絵本で見かけた様な顔を覗かせている。

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途中でルートを間違える。単調な風景に、チョット考え事をしてサインを見落としたらしく一山越えた北の港に出てしまった。地元の人に聞きながら何とかルート復帰。

午前中に宿泊地Soto de Luinaに到着。今日のアルベルゲは廃校を利用したもの。スーパーで買い出しをし、ビールを飲みながら昼食。

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午後は芝生の校庭でのんびりと昼寝をする。夕食後ホスピタレイロがやってきて明日のルートを説明してくれた。スペイン語であったがおおむね理解できた。そして、9時過ぎに教室の蚕棚で眠りについた。

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2015年6月12日

 Sevillaを旅立ち「銀の道」既に22日目。ロマネスク建築の宝庫Zamoraを後にする。時にはあれと思わせる景観に出くわすが、余り変化の無い大地を黙々と進む。

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19kmの比較的短い距離をこなし宿泊地Montamarutaに入る。詳細な地図は持ち合わせていないのでお世話になるアルベルゲが見つからない。人通りも無い。出会った広場で何処かで見かけた様な像が建っている。暫くして思い出した。学生時代にカニ属として訪れた秋田は男鹿半島の"なまはげ"だ。

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そして、空を見上げれば子育ての為にアフリカから帰ってきたコウノトリ。毎年同じ番だそうだ。鉄塔や教会の鐘楼等安全な場所に巣を作る。

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やっと宿にたどり着き夕食の為バルに行くとお馴染みの風景。テーブルの片隅には堂々の現ナマ。

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2018年6月12日

「ル・ピュイの道」の巡礼を終え9日にパリに戻る。14日の離仏までパリとその近郊を楽しむ。5〜6月はフランス国鉄はストの真っ最中。駅に出かけ運休予定の便を確認しながら当初の予定を変更し、長時間待った末チケットをゲットする。今日は三大ゴシック大聖堂のうちアミアン大聖堂に出向く。アミアン駅を出ると正面に1953年にオーギュスト・ペレの設計で建設されたRC造の高層ビル。このペレ塔はその筋では有名な建物。

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 街中を進むとおめあてのアミアン大聖堂ファサードの全景も見事だが、やはり正面入り口上部のタンパン(短パンではない)が気になる。ゴシックのタンパンは出来はいいが、おもしろ味ではロマネスク には敵わない。テーマは「最後の審判」。偶然、工事中の鮮やかな赤のクレーンとのコラボ。

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正面の彫刻群は"石の聖書"と言われ、深い意味は分からないが見飽きがしない。これは天使の内証話。

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堂内も見所満載であるが、床のパターンは現代アートを思わせ私の一押しである。

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大聖堂の裏には運河が巡らされた街並みが展開する。観光客は殆ど見当たらず静かな散策が楽しめる。

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パリの北駅に戻ると駅前で前屈みのストリートファニチャーが迎えてくれた。

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旅は家に帰ったところで終わる。いや終わるはずである。ところが帰ったところから新たに始まる旅もある。旅先で受け取ったパンフレットやチケットのたぐいを整理したり、撮った写真をプリントしたり、あるいは家族や友人に話をしたりすることで、あらためて旅をしなおすという部分があるからだ。

                「旅のつばくろ」     沢木耕太郎/新潮社

 

先々週紹介したサンチャゴ巡礼のテレビ番組を見ながら改めて旅をし直した。アル中再発?

本日特別定額給付金が振り込まれた。よく考えれば究極の借金か。

ウオーキング中にカラスのしつこい襲撃に遭う。ゴミ出しの変化の影響か。