出会った巨樹

NHKBSプレミアムで"巨樹百景"と言う再放送に出会った。数百年の長い時間を経て現在を巨樹として生きている樹木を訪ねるドキュメント番組である。その樹木に刻まれた歴史、住民の生活との関わりそして今後を綴ったものであった。見終わった時に最近目にした巨大な樹木を思い出した。先日紹介した台湾発の書店「誠品生活日本橋」を訪ねた時、その店舗の入居するビルの外構の一隅で巨大な樹木に出会った。背後に26階建の超高層を控えた巨樹である。

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しかし、ここは日本橋である。数百年の時を刻んできた自然界から連れてこられたに違いない。確かに立派な巨樹であるがこの樹木が語るであろう何物をも感じさせない。幹の隙間から近代建築が垣間見えるだけである。養生された姿が痛々しい。ただ救われたのはその足元で過ごしている親子の姿であった。

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この樹木の名前は分からなかったが今後の再会は無いであろう。巨大な樹木が故に巨樹ではない。巨大が故に貴からずである。

 

 住まいの近くには住民にとって誇らしい巨樹がある。平安時代に建てられた練馬宿の氏神を祀る白山神社の境内に鎮座する大欅である。かの源義家が戦勝を祈願して自ら手植えたと伝えられる。樹齢7〜800年で目通り10m、樹高25mの巨樹である。寄る年波の上20世紀末に治療を受けたとの事もあり、少しばかり痛々しさを感じる。今は冬の為葉を落としていることもあろう。緑の茂る季節に元気な姿を見に来よう。

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因みに、国の天然記念物に指定されている。

 

毎朝のウオーキングの際に出会う巨樹群がある。"内田家の屋敷林"と呼ばれる樹林であり、練馬区の天然記念物に指定されている。樹高30m前後の欅が群をなす姿は美しさを感じさせる。今は冬であるが緑の季節にはもう一つの姿を見せる。

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多分、江戸時代の庄屋の屋敷と思われ、その四方を囲む屋敷林と農用林の形態をよく残しているとの事である。防風と日除けの役割を持つ。中でも正門の前に立つ一本は見事である。

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裏に廻ると嘗ての住人の居宅と思われる住宅も残されているが人影は見当たらない。

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全貌を確認すべく我がマンションの上層階に上る。嘗ては農地の真ん中に横たわっていたであろうが、今では薄っぺらい住宅群に取り囲まれている。窮屈そうであるがその姿は美しい。

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ウオーキングコースには、もう一つお気に入りの樹木群がある。石神井川沿いに今や満開の桜並木。毎日、お花見を楽しんでいる。川沿いに桜を植え花見客の足で土手を踏み固めてもらったと聞いが、ここの桜はの由縁は分からない。対岸の区のスポーツ公園には道路沿いに銀杏並木。嘗ては中央大学のグランドであった。これから青葉そして黄葉の季節へと続く。

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同じコースに気になる動きが出た。新しい道路が作られ始めたがその先には隣のマンションを超える樹木群が見える。一本はどう見ても新しい道路のど真ん中に位置している。今回のオリンピックに伴う道路整備のために、地元の人々の生活に溶け込んでいた並木が伐採されると言うニュースを思い出した。

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