本屋は何処へ

 嘗て本屋は住まいの近くにもあった。約20年前に現在の地に転居してきたときには近くに小さな本屋があった。散歩がてら立ち寄り、読みたい本が見つかれば購入もした。活字離れが進む中、対応策として本屋の大型店舗化進み、立地に恵まれない小型書店は次々と消えて行き、その本屋も同じ運命を辿った。

 

数年前代官山の蔦屋書店が面白いと言う話を聞き出掛けた。来店者のライフスタイルに合わせてスターバックスファミリーマートも併設している。単身生活者が手に出しそうな家電製品まで販売している。トラベルカウンターもありサービスも提供している。

 

銀座松坂屋はGINZA SIXに変身し、そこに「銀座 蔦屋書店」が出店している。イベントスペースやカフェそしてイステーブルの閲覧スペースが本棚と一体となっている。

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そして、本の購入を誘発するモノも幅広く展開されている。仏像や刀剣までも並んでいる。

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 日本橋のCOREDO室町テラスに台湾発のセレクトショップ「誠品生活日本橋」が出店している。本屋を軸とした大型店舗で日本の有隣堂書店が運営している。通路の平台に本を並べたり

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台湾地場の商品を並べ異国情緒を漂わせている。

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取り扱うものがモノからコトへと広がり、ガラス細工や3Dプリンターのワークショップも開催している。そこから本の購買へとつなげて行こうということである。

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渋谷に新しく出来たランドマーク"シブヤスクランブルスクエア"に本屋「TYUTAYA BOOK STORE」が入店している。旅を切り口にした品揃えであり、所謂品揃え豊富な大型書店とは異なる。本棚の間にイス・テーブルがずらりと並び、中高生がたむろして宿題らしきものに取り組んでおり、その脇ではパソコンに向かって仕事に勤しんでいる若者もいる。街中のリビングルームと化している。

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その書店を"SHARE LOUNGE"なるものが包み込んでいる。説明書きを読んでみる。「心地よく過ごしていただくために空間づくりにこだわりました。スタイリッシュなチェアに座り、街を眺めながら、仕事をしたり語らいの時間を過ごしたり 、思い思いの時間を心ゆくまでお過ごしください。」つまり、ここでは時間も売っているのだ。その価格はフリードリンク付で1時間1,000円である。

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本屋もここまで来たかの感である。

 

本屋はどこまで変貌して行くのだろうか。どうも進化しているとは思えない。嘗ての一種独特の本屋の佇まいは影を潜めて行く。