続々ミュージアムを愉しむー映り込み編

先月、江東区東京都現代美術館の階段まで紹介した。その手摺のガラス面に映り込んだ建物をズームアップして眺めると楽しみが増す。

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美術館の外部には水盤があり、その水面への映り込みには又異なった印象を与える。

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更に、反射による映り込みとは別に床への影による映り込みは更に異なった姿となる。

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そして、鑑賞後のひと時を過ごす来館者の姿を加えると、又々新たな姿を表す。

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六本木の国立新美術館"DOMANI 明日2020"と題する展示会に出かけた。文化庁が支援する「新進芸術家海外研修制度」の成果発表の場である。今回のテーマは「傷ついた風景の向こうに/Landscapes in Our Age:Scarred and Reborn」で、私達が経験した天災や人為的災いにより生じた「傷痕」について、直後のジャーナリスティックな表象でなく、時間を経て生まれた表現を集めたとある。少々難解さを感じさせるが、あまり深く肩苦しく考えないで鑑賞する。

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印象に残った作品は日高理恵子さんの樹木、自然が本来持つ、毎年生ずる摂理ー芽吹き、葉が育ち、落葉するーに向き合った<空との距離>。大きな空間に負けない生命力を鼓舞される迫力ある作品であった。一見すると写真を思わせるが、麻紙に岩絵具で描いた絵画である。

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そして、東日本大震災をはさんで営々と制作した、膨大な数の金木犀の葉の葉肉を取り、脱色し、つなげた<景色のはじまり>を、この美術館の天井高豊かな空間に合わせてあらたに構成した宮永愛子さんのインスタレーションも。

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両作品共、展示室のスケールをものともしない作品であった。

 

展示室を出ると、冬ではありながら南面するファサードから射し込む強い日差しが巨大な空間いっぱいに影の映り込みを描いていた。

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そして、此処でも鑑賞後のひと時を過ごす姿が映し出されていた。

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