AGCの階段

前回TOTOから始めたが、今回はLIXILから始める。NHKの"日曜美術館"で京橋のLIXILギャラリーの展示会「ものいう仕口」を知った。そして出かけた。

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仕口とLIXIL?インターネットで調べる。2011年にトステム/INAX/新日軽/サンウェーブ/東洋エクステリアが合併してできた建材/住宅設備企業で業界最大手と知った。そして納得した。"LIVING/LIFEの造語との事で一般の人には馴染みが薄い。因みに、TOTOは"東陶という会社の呼び名との整合を図るため1969年にロゴとした"とあり、こちらは既に一般に定着している。

ところで、展示の方は北陸の白山麓で民家を解体した際に出た木材の仕口部分(接合部分)を貰い受け、それを"民家のかけら"と称して紹介したものであった。

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木材を細工するだけで建物を組立てる職人技は、まさにもの言わぬが何かを語りかけているようで、ただ黙って見入るばかりであった。そして、その姿は芸術作品にも劣らぬ存在感を漂わせていた。

 その場でもう一つ情報を得た。「福井の農民の家〜古民家を読み解く〜」と題する越前古民家研究所代表福井宇洋氏の講演会である。早速参加申込みをした。

後日出かけたのはAGC Studio。ところでAGCって?スタッフの方に尋ねた。「旭硝子がライフサイエンス分野等新たな事業領域拡大を機に社名を2018年にAGCとした」との説明。展開する企業プレゼンテーションに 懐かしさを感じながらの理解ができた。最近の急激な世の中の動きについて行けていない事を痛感する。

福井県在住の福井氏は県内の民家が次々に解体されるのに危機感を覚え調査・研究・保存活動を始め、その成果を映像を交えての講演であった。多くの実例に基づく理路整然とした説明にこれまで持っていた民家に対する興味と認識が更に深まった。藁屋根の外観や自然の形を残しながらがっしりと支える屋内の柱・梁に安心感と共に美しささえも感じた。

 

会場のあるショールームには、AIを活用した製品等がプレゼンテーションされている。しかし、中でも気になったのは単なるガラスの階段であった。一階と二階を繋ぐ階段であるが、ガラス製というフラジャイル感、そして上り下りする時少し揺れを感じる不安感、そして下方が垣間見える微妙な恐怖感と共に妙な高揚感を覚えた。

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階段に敢えてガラスを使うのにはその辺りの微妙で複雑な感覚に訴える効果を狙っているのか。

 

旅の中でも似たような感覚を覚えた事を思い出す。階段ではないが熊野古道十津川村の吊り橋

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そして、ポルトガルリスボンのサンタ・ジェスタのエレベータの展望台に向かう階段。

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