私のスモールジャーニー

8日、両国の江戸東京博物館で行われた探検家"関野吉晴"さんのトークイベントに出かけた。

f:id:peregrino:20191111124731j:image 

関野さんといえば,人類がその発祥の地アフリカから、世界各地へと拡散していった経路を、人力にこだわり逆ルートでたどる旅「グレートジャーニー」で知られており、てっきりその話が聞けると思っていた。氏によると、その後も世界各地へ旅を続けるうち50代に入り、海外はともかく自分の足元を知っていないとの思いに至る。自分の生地墨田区木下川(きねがわ)が被差別の地であったことを知り、今では少なくなった皮鞣しの工場に飛び込み、海外からの出稼ぎ労働者と共に働いたそうだ。主催者の関係もありトークはこの経緯が主たるものであった。ちなみに、もう一人の出演者は一週間前まで紛争の地シリアで活動し、直近の現地情報を持ち帰られたフォトジャーナリストの安田菜津紀さんであった。期待に応えるトーク内容ではなかったが、思いかけずも良い機会に巡り会えた。

体力・気力の減退を感じ、今年はとりあえず国内でおとなしく過ごしているが、実は私も予てから足元をもっと知りたいとの願いから、ジャンルを問わず闇雲に様々なイベントに顔を出し、その途上で思いのままの街歩きをしている。受動的な活動ではあるが、上半身(頭脳)には自信の無い私には、多少自信のある下半身(フットワーク)に頼る日々を過ごしている。

 

今月に入って、

前々回紹介した哲学者井上円了没後100年の哲学堂祭に自転車で中野区の哲学堂に出かけた。私にとっての哲学は「疑問を感じたら取り敢えず考える事」と理解した。

f:id:peregrino:20191111123211j:image 

 

インバウンドの取り込みに京都との比較をされながら苦悩している奈良の対応策を語るシンポジウムで日本橋奈良まほろば館(奈良のアンテナショップ)へ。永年奈良を拠点に活動する英国人クリエイティブディレクター安土龍さんも参加。今では3人と奈良の絶滅危惧種の舞妓の菊愛さんもお出まし。

 

今話題の「誠品生活日本橋」へ。台湾の書店が2006年から売り上げの低迷する書店の生き残り策として、海外を含めて展開している複合セレクトショップ「誠品生活」を、横浜の有隣堂と組んで日本橋に出店した。書店をキーにしながらも、モノ,コトを導入し本の消費に繋げるとし、台灣のお茶屋やガラス細工の工房まである。蔦屋もモデルにしている。

f:id:peregrino:20191111123312j:image

f:id:peregrino:20191111123353j:image 

 

地元の練馬区立美術館でアメリカの絵本作家エドワード・ゴーリーの展示会のギャラリートーク。この作家を初めて知ったが、あの"キャッツ"も描いている。緻密なペン画の凄さを味わった。メジャーな美術館ではないが、結構話題性のある企画を展開しており、しばしばペダルを漕ぎながら出向いている。

f:id:peregrino:20191111123416j:image

表に出ると金属製のオブジェに美術館の建物。今度こそとカメラに収めたが、残念な結果に終わった。

 f:id:peregrino:20191111133921j:image

 

神田の湯島聖堂で行われたシンポジウム「時層する東京と社寺会堂」に出かけた。嘗て、賑わいを呈していた駿河台/湯島台/本郷台を宗教は異なるものの神田明神/湯島天神/上野/ニコライ堂/湯島聖堂等を緑の回廊で繋ぐことにより賑わいを取り戻そうという研究会である。東大/東京理科大といったアカデミー中心の為かやや難解で、地元との結びつきに疑問を感じた。当日配布されたパリ中心市街地の規制図は詳細は分からないが、こんなものが必要となんとなく理解した。

 f:id:peregrino:20191111123540j:image

 

あの司馬遼太郎の「街道をゆく」の写真展に併せて、その撮影者の小林修氏と司馬さんの担当者であった村井重俊氏のトークショーがあり六本木の東京ミッドタウンへ。週刊朝日の小さなモノクロ写真を大判のカラーで見ると圧倒的な迫力で迫ってくる。司馬さんのファンであった私にとって、知ることのなかった氏の実像や裏話も披露され楽しい時間を過ごす事が出来た。

 f:id:peregrino:20191111123439j:image

 

 台東区生涯学習センターに向かう。「江戸から学ぶ」連続講座で、今回は「江戸の音を観る 谷中編」と題し、幸田露伴の「五重塔」のモデルとなった「谷中五重塔」の来歴を寛永寺の方からお聴きした後、元NHKアナウンサーの平野啓子さんご自身の脚本による「五重塔」の語りに耳を傾けた。

 

築地の朝日新聞社で最近「ナポレオン 」三部作を出版された歴史小説佐藤賢一さんと、京都生まれの「京都ぎらい」(新書大賞受賞)の井上章一さんの対談を聞く機会を得た。佐藤さんは正面から、井上さんは斜めからナポレオンを語られ、佐藤さんの著書を読みたくなる衝動に駆られた。因みに、佐藤さんの名は本屋で見かけたくらいであり、私は井上さんの話を聞きたくてでかけた。

 

内幸町はイイノホールでの指定都市市長会シンポジューム「文化芸術立国の実現に向けた指定都市の役割」に参加した。横浜市京都市、札幌市の市長による文化政策のPRの場であった。プロデューサーの残間里江子さんは、基調講演で当日の大半のシニアの出席者に向けて、「シニアは前線で活躍できないかもしれないが、積極的に出かけそこで感じて下さい。そして、それを語りかけてください」といったような事を述べられていた。

 

銀座のギャラリーgggでグラフィック作品に取り囲まれてパール・アレキサンダーさんのコントラバス生演奏に身を浸すことができた。

f:id:peregrino:20191115100509j:image

 

と、延々と近況を述べてきたが、こんな調子で持て余す時間を過ごしている。書きながらワイドショーを脇見していて一句浮かんできた。

           さくらより  サクラ(偽客)が目当ての  桜の会            四季

才能ナシ!