キャンパスのギャラリー 海外編

スペインのサラマンカ大学は中世に創立され、ヨーロッパで三番目、スペインで現存最古の大学で ある。旧市街を歩いていると俯き加減で足早に歩く人に出会う。東京の本郷辺りで出会う空気感で、スペインの他の都市では見かけない風景である。建物の壁面に何か書いてある。universita...の文字から大学施設と思える。街そのものがキャンパスである。

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街中の建物の壁面に何か書かれているが、universita...の文字から大学関係施設らしい。街そのものがキャンパスである。

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一番の見所は15Cに建てられた講義堂「エクスエラス マヨーレス」。世界遺産であるが日本に見られる人垣は無いので心ゆくまで見つめていられる。スペインルネサンスプラテレスコ様式イスラムの影響も見られる。「まちのシンボルのカエルを見つけると幸せになるよ」に誘われて目を左右上下に泳がす。右側の十字状の所の頭骸骨の上に鎮座していた。幸せは別として、無事成田に降り立つことが出来た。

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中に入ると古色蒼然とした講義室。知識の宝庫である図書館。そして、プラネタリュームまで

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 ポルトガルの大学都市コインブラポルトガル最古の大学で中庭を囲んで校舎が並ぶ。

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何と言っても「ジェアニア図書館」は圧巻である。中には入れないし撮影は禁止。でも・・・・・

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元宮廷の広間は「帽子の間」と名付けて学位授与など儀式の間となっている。

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一時期世界をスペインと分け合った国を実感した。残念ながら名物の黒マント姿の学生には出会わなかった。

 

ポルトガル南東部のエヴォラ大学には天正遣欧少年使節が宿泊したそうで、コインブラ大学に次ぐ歴史を持つ。教室入り口のサインはなんとなくポルトガルを感じさせる。

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内部の壁面はポルトガルでは欠かせないアズレージョで装飾されていた。

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そして、コインブラでは果たせなかった黒マントとの出会いがここで果たせた。

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パリはセーヌ川の左岸はカルチェラタンソルボンヌ大学が静かに佇んでいた。

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ここも街そのものがキャンパスである。壁に貼られたビラは何を訴えているのかは分からないが、何かを訴えている気持ちは伝わってきた。

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パンテオン前の広場の巨大な顔は何を見つめているのだろうか。

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ところで、先週紹介した慶大旧図書館の設計者である曽禰中條建築設計事務所の曽禰達蔵氏

について、東大名誉教授の建築家藤森照信さんのコメントに出会った。

事務所を開いてからは多くの作品を手がけているが、中でも重要なのは明治25年慶應義塾大学図書館で、ゴシックをよくした曽禰の力量を見て取ることができる。

ゴシック様式は中世キリスト教会とともに隆盛したことから、その後も長く今日までキリスト教会の定番と化している中で、図書館のような普通の施設でこれだけ充実したゴシック様式は日本では珍しい。

尖塔アーチはじめディテールまでゴシックで統一しているが、ただし多くの教会のように中世のゴシック様式の素直な継承ではなく、赤煉瓦の中に石を混ぜるなどして華やかさを演出している。

             「近代建築そもそも講義」藤森照信+大和ハウス工業総合技術研究所/新潮社