キャンパスのギャラリー

先月初旬、慶応義塾三田キャンパスを訪れた。これまで公開講座、講演会、展示会等機会を見つけては多くの大学を訪れている。本来の目的以外に、歴史の古い大学が多く建物を含めた独特の雰囲気が楽しめるし、学生達に混じって歩き回っていると気分が若返る。今回は"建築プロムナード"と題した一般の人に開放したキャンパス内の建築特別公開のイベント参加である。同学アートセンターの学芸員によるガイドツアーで通常公開されていない施設も公開された。

事前説明の後、正門として位置付けられているガラス張りの新しく立派な南校舎のピロティを潜り、創立50年を記念して1912年竣工の重要文化財「図書館旧館」(図中B)に向かう。

f:id:peregrino:20191031111118j:image

英国のクイーン・アン様式でゴシック様式の一種。前に立つとロンドンの街角を感じさせる。関東大震災をくぐり抜け100年以上の年月を経た建物であるが、改修工事を終えたばかりとあって、外壁の赤褐色の煉瓦が眩しいばかりである。

f:id:peregrino:20191031104741j:image

エントランスを入ると正面の階段踊り場に鎧姿の武将とペンを手にした女神の図柄のステンドグラス。ラテン語で「ペンは剣よりも強し」と記されている。現在は「塾史展示室」として整備中で見学はここまで。

f:id:peregrino:20191031104810j:image

外に出ると壁面上部にお馴染みのペンマークが目に入る。1885年頃"洋服派"学生が教科書にあった「ペンは剣に勝る力あり」をヒントに考案したものが後日公式に認められたとのことである。

斜め向かいの管理部門の入る1926年竣工「塾管局」(図中D)と1937年竣工「第一校舎」(図中I)は竣工時が異なるが、共に図書館旧館と同じ設計事務所であることもありデザイン的調和への配慮が窺われた。

f:id:peregrino:20191031113743j:image

f:id:peregrino:20191031113815j:image

白壁で仕上げられた第一校舎エントランスホールの吹き抜け階段はガイドさんのお勧め。

 f:id:peregrino:20191031104414j:image

正門まで戻ると広場の両脇にプリッカー賞槇文彦さんの 1980年代の作品「図書館」(図中E)と「大学院校舎」(図中H)。大正昭和の建物が違和感なく建ち並んでいる。。 

f:id:peregrino:20191028080241j:image

f:id:peregrino:20191031141540j:image

大学院校舎 に入り右に目をやると階段が目に入る。階段は途中の踊り場から更に上に続いている。しかし、よく見るとなんと壁の描かれた騙し絵?である。槇さんのいたずらか。ガイドさんは全く説明しない。興味がないのか、それとも気がついていないのか。

f:id:peregrino:20191028080313j:image

 高台に海鼠壁の建物がある。1875年に開館した日本初の演説会堂で、福沢諭吉がここで聴衆を前に演説をしていたそうで、重要文化財に指定されているそうだ。

f:id:peregrino:20191031155336j:image

彫刻家イサムノグチの彫刻も散見される。そして、南館(図中L)の屋上庭園には東宮御所の設計者谷口吉郎さんがイサムノグチさんの協力を得た談話室「ノグチルーム」が「旧ノグチルーム」として保存されている。

f:id:peregrino:20191028082818j:image

建築にあまり関心をお持ちでない方には申し訳ないが、非常に充実した時間を過ごすことができた為、長々とした紹介となった。

帰路、脇道を歩いていると延々と続く白い土塀に出会った。表札には「三井倶楽部」とあった。

f:id:peregrino:20191028201318j:image

先日、箱根駅伝で耳にする東洋大学の創設者で哲学者井上円了の没後100周年記念「円了デー」講演会

に参加すべく同大白山キャンパスに出向いた。限られた敷地に新しい建物が建ち並ぶ 。

f:id:peregrino:20191031161603j:image

正門となっている8号館のガラス壁面に周囲の街並みが映り込んでいた。

f:id:peregrino:20191031161811j:image