高きが故に

すみだ北斎美術館に出かけた。金沢21世紀美術館を初め国内外の多くの美術館を手がけているSANAA(妹島和世西沢立衛)設計であり、いつか訪れてみたいと思っていた。今回は北斎作品の展示ではなく「ファスナーの船」と題するトークイベントが目的である。

アーティストの鈴木康広氏が飛行機の窓から東京湾を見下ろしたときに、海に進む船と航跡がファスナーで海の(地球)を開いているように見えたことから着想した作品(人の乗れるファスナー型の船)を、隅田川でデモンストレーションするにあたってのイベントである。

奇想天外の発想に驚かされたが、トークの内容は私には上手く説明できないし、説明しても面白くは無いと思うのでここまで。

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美術館は子供達が走り廻っている児童公園に隣接した小振りなもので、にぶく陽光を反射した金属仕上げのシンプルな外観は大型のオブジェを思わせる。

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真ん中を通り抜けできるオープン通路が貫いており、近隣の人が気軽に通行しており、すっかり地元に馴染んだ存在である。

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後ろを振り向くとあの東京スカイツリーが眼に入った。かつて大東京を一望しようと東京タワーに昇ったが、カオス状態の景観には正直感動を覚えなかった。その事もありスカイツリーには足元に立った事があるが敢えて上に上がろうと思わなかった。

タワーをカメラに収めようとレンズを向けるがなんと無く気恥ずかしさを感じる。しかし、子供達が戯れているワイヤー製のジャングル?越しに顔を覗かせたタワーには素直にシャッターを切ることができた。傾いたタワーを補正してみたが、収まりが良すぎて面白みが無いので元の戻す。

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かつて同じ体験をした事を思い出した。パリのを街を歩いているとあちこちでエッフェル塔が眼に入る。いつか写真に収めようと思いながら歩いたが、結果はアール・ヌボーのフェンス越しの傾いたエッフェル塔であった。

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そして、大阪のアベノハルカスは傾いてはいないものの・・・・・

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昨日、慶應義塾三田キャンパスの 「建築プロムナード」と題する建築特別公開に参加した。"旧ノグチ・ルーム"(彫刻家イサム・ノグチの協力による談話室)の紗のカーテンの窓越しに東京タワーが見えた。後でチェックするとガラスのワイヤーメッシュ越しの傾いたタワーでもあった。

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イベント後、暗闇に佇む美術館は昼間の姿の陰画を思わせた。

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