フランスで出会ったラグビー

ラグビーには特段の興味を抱いていなかったが、先日偶然ワールドカップ開会式のテレビ中継を眼にした。過度な演出と長時間にわたるオリンピックの開会式に辟易としていた私にはシンプルかつ適度な長さが好ましく思えた。それもあって、翌日昨年の訪仏以来何かと気になるフランスの対アルゼンチン戦をTV観戦した。アップで映し出される重量級の選手同士の肉弾戦、大きな身体の似合わぬスピード、そしてロングショットのフォーメーションの変化にはルールもよく知らない私も勝負に関係無く魅了された。そして、ルールを理解するにつれ、その成り立ちに興味を覚えた。そして、昨年の「ル・ピュイの道」で出会った"ラグビー"を思い出した。

巡礼12日目の宿Figeacで巡礼路は一旦三本に別れる。私は水路沿いの道を選んだが、別のコースの途中のRocamadourをパスし難く、休養を兼ねてもう一泊増やし寄り道する事とした。渓谷の断崖絶壁に張り付く様に門前町、聖堂・礼拝堂の聖域そして城が三段構造を成す絶景を見逃すわけに行かない。翌日、Tシャツ・短パン・サンダル姿で1日3往復しか走らない電車に乗り込み最寄駅へと向かう。目的地はそこから6km先にあり、普通の観光客はタクシーをチャーターするが エコノミーツアーの私は当然の歩き。幸いにも大阪の単独個人旅行の女性と同乗し歩きを共に出来たのでアッと言う間?に到着。と、思いきや谷の中腹に巡礼路は続く。 

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門前町に近づくと見せ所の三段構造が出迎える。

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頂上の城を中心に城塞を形成しておりまずは城門を潜り中に入る。名の知れた観光地であり、門前町にごった返す観光客には我慢我慢。

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住人は600人強であり、用途は知れないが興味深い建物も見受けられ、店には関係なく楽しめる。

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こんな所にまで日本の技術?が進出しているのに驚きを覚える。

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山羊を引きつれた楽隊に遭遇した。翌日、羊の大群を引き連れた一行に出会い、毎年この様な集団がある所に向けて全国から巡礼をすると聞き、これもその一団だと理解した。

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真上を見上げると、これから向かう岩山が覆いかぶさる様に迫って来る。

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216段の急勾配の階段を登ると岩山の中腹の聖域に入る。中世の巡礼者は驚く事に祈りを捧げながら両膝だけで登ったそうだ。聖堂ではミサが行われており、周りの6つの礼拝堂では参拝者が様々な形で祈りを捧げている。

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ある礼拝堂でシャツらしきものが木製の格子状枠組に並べられたのを見かけた。良く見るとラグビーのユニホームのジャージらしい。違和感を感じたが、日本の神社でも必勝祈願でスポーツ用品が奉納されているのを見かける事がある。その類にしては様々なジャージが纏めて奉納されているし、祈願の文言も見当たらない。いつもの如く私の語学力では確認しようがない。 妙に気になったが、今回ワールドカップを見ていてなんと無くわかった様な気になった。

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更にジグザグの坂道を登り岩山の頂上に辿り着いた。そこには嘗ての城主の居館が残っていたが、そこから一人静かに来し方を振り返って眺める眺望がなんと素晴らしかった事か。

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再び6kmの道を歩き駅に戻り電車でFigeacに戻った。電車の中で母と息子二人連れに出会った。互いに第二外国語以下の英会話力の為約40分の間話が弾んだ。休みを利用しながら数日間ずつの区切り巡礼をしていると言う。私には出来ないが羨ましい旅に出会った。

方々で建物の壁や電車のボディの落書きに出会う。どんなにアートだと言い張っても肯定する気にはなれないが、車内から見かけた窓ガラスの眺めにはちょっとばかりココロを動かされた。

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と、ラグビーワールドカップにかまけて巡礼の1日を思い返してみた。でも、フランス国旗のトリコロールの青とは異なるが、フランス選手のブルーのジャージは流石と思わせた。巡礼で見かけた私のお気に入りの青。へそ曲がりの私はこれは「ネコの写真ではない」と言う。

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