Keiiti Tanaamiって知ってますか。
田名網敬一さん?"私は知りません"と言うか,"知りませんでした"。その私がgggギンザ・グラフィック・ギャラリーでご本人と美術史家の山下裕二さんのギャラリートークがある事を知り、半分興味本位で出掛けた。
紹介文によると、「グラフィックデザイナー、映像作家、アーティストとして、積極的に横断して創作活動を続け、現代の可変的なアーティスト像の先駆者として、世界中のアーティストたちに大きな影響を与えている。世界各国で展覧会を開くと共に、著名美術館で作品が収蔵されている。」
ギャラリートークの前に展示された作品を見て回る。「一見すると奇怪でありながらもポップな妖怪画のように見える田名網近作」とあり、なんとも言えない戸惑いを持って眺めた。しかし、暫くするといつか何処かで出会ったキャラクターが散りばめられているのに気がつき、少し落ち着きを持って鑑賞できるようになった。
ギャラリートークでは自己紹介から始まった。1936年生まれの82歳との事であるが、ご本人を目の前にしていながら作品と全く結びつかない。武蔵野美術大学で草間彌生と同級生であったと聞くに及んで何とか折り合いがついた。
「自身の記憶や夢を原風景に制作に取り組んでいる。」日常の遊び場であった目黒の雅叙園や戦争の記憶、愛読していた漫画やSF雑誌のキャラクター、親から譲り受けたアメリカンコミック、そして敬愛するアーティスト達の作品。
山下裕二氏は述べる。「田名網は、起草の系譜に連なる人だと思う。つまり、現在進行形の奇想の人。若冲、曽我、蘆雪・・・そして21世紀の田名網。私はかつて、田名網の事を「物静かな狂人」と評したことがある。」
制作に当たっては図や写真をコラージュしたものに手塗りで色付けをするというほぼアナログ的手法であり、キャラクター等は作者の了解済みとの説明があった。
効能書きはここまでにしてTanaami Worldを訪れてもらおう。
若冲はお気に入りらしく虎や鶏が彼方此方に顔を出している。
踊る鯉は北斎か?
「ご存知アルチンボルド」
ヘタウマの画家「アンリ・ルソー楽園」
ディズニーは欠かせないキャラクター
日本代表はウルトラマン
アディダスとのコラボも
そして、極めつけは
展示の演出ではない。来場者です。因みに後ろの作品は「くもり空のふたり」?とある。
そして、あの「11PM」のアニメーションの制作にも携わっていた。披露された作品は今では即放送停止の声が出るであろう絵柄。当時は生放送であり、一人で作成する為約800枚の原画は放送開始寸前の出来上がりとなる。その為幸いにも無事無修正で放送出来たそうだ。
浅田次郎さんの「おもかげ」を読んでいて、"サイケデリック"という言葉に出会った。田名網さんの作品にもう一歩近づいた気がした。