時速5kmの旅
NHKのBS3で運河の旅に出会った。フランス人夫婦がリタイアを機にパリからオランダのロッテルダムまで1ヶ月800kmの運河クルーズに出かける。ミッシェルは16歳で造船所の見習いとなり46年間船を造り続けた。退職5年前から休みの日を利用し、それまでに蓄えた2,000万円全額を投じて 自らクルーズ船を建造した。船の名は"RAGON"(ラグーン)。そして、仕事仲間に見送られ再びこの地を踏むことは無いとパリを後にした。20万円/月の年金を糧として、冬には温暖な南で最愛の妻と暮らしたいと。
「これからは時間は全て自分のものだ。自分自身の為に生きて行ける。私自身の人生のバカンスが始まる。」
"Le Puyの道"ではガロンヌ運河沿道を歩いた。1856年に竣工し、大西洋と地中海を結ぶフランス内陸の水運インフラの一部として機能している。融雪期と冬季の著しい流量変化の調節機能も果たしている
運河脇には緑に包まれた遊歩道が整備され、巡礼者はマイペースでゆったりと歩を進める。
バカンス前でクルーズ船は余り見かけないが、生活品を満載した船が時々通り過ぎる。
そして、所々に水位調節の為の為に設置された"ロック"(閘門)に出会う。両端に観音開きの扉があり、進路方向の水位に合わせて水を出し入れして船が通過する。
その操作は利用者が自ら行っているが、結構時間が掛かっておりバカンス期の渋滞が目に浮かぶ。
水位調整の間には船上の人と岸辺に立ち止まった巡礼者が互いに声を掛け合う。
そして、少し大きな町に着くと船を岸に舫って買い出しや観光にと街中に出かけて行く。
生活をしながらの時速8kmの優雅な旅である。私達巡礼者は時速5kmで彼等より贅沢な旅をしている。
暖かさが戻ったので江戸三大祭りの一つ"神田祭"に出かけた。場所は超高層の建ち並ぶ日本橋。色とりどりの衣装、御輿そして山車と進む。しかし、街並みのスケール感に呑み込まれてなんと無く迫力に欠ける。
そのせいか、平将門さんには申し訳ないが撮った写真は後ろ姿になってしまった。